学生に薦める本 2003年版

臼井 陽一郎

『三四郎』新潮文庫

夏目漱石 新潮社 1985年

『こころ(改版)』新潮文庫

夏目漱石 新潮社 1993年

『行人』新潮文庫

夏目漱石 新潮社 1985年

『明暗』新潮文庫

夏目漱石 新潮社 1987年
*夏目シリーズとして、この4冊を薦めます。やっぱり、すごいです、この人。学生のうちに一応目を通しておかないと、卒業後10年くらい経ってからもう一度読み直したときの圧倒的な感動を味わえません。若いときと、中年間近の二回、読まないといけない!今のうちだよ、今のうち。一言だけ、個人的感想。この4冊、とても同じ人間の筆によるものとは思えません。いったい、何人の人間像を描けるのだろう、この人は。ちなみに、『行人』の一郎という人間像と、ドストエフスキーのカラマーゾフに描かれるイワンの人間像とを比較することで、夏目の凄さとドストエフスキーの凄さの双方を語りあえる人、募集してます。
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『悲の器』

高橋和巳 新潮社 1983年
*これを読んでもへこまないくらい、学問の尊さをほんとうの意味で知っている研究者になることができないと、大学の講壇に立つ資格はないと、直感的に感じました。人間にとっての学問と、学問にとっての人間、この双方を、本書を通じて考えてみて欲しいと、こころからねがってます。
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『塩狩峠』

三浦綾子 新潮社 1985年
*小説家としてのこの人を、偉大な素人と呼びたい。いっさいメタファーがなく、小学生でもよめるような淡泊な文章で、ほんとに単純な人間像が描かれます。ほんと、単純すぎます。にもかかわらず、この人の作品を読むと、その作品の世界が頭から離れなくなります。もっともバイブルに近い日本語小説の書き手、かな。
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『聖の青春』

大崎善生 講談社 2002年
*ここに描かれる師匠・師弟関係は、絶対に、過去のどんな偉大な文豪でも描くことのできない、尊いものです。言い切るよ、絶対に。この歳で(内緒だけど)、目に塩水がたまりました。
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『個人と国家:今なぜ立憲主義か』

樋口陽一 集英社 2000年
*とくに、一年生、読んで下さい。最良の社会科学入門だと思ってます。
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