学生に薦める本 2004年版

高橋 正樹

『インディアスの破壊についての簡潔な報告』

ラス・カサス(染田秀藤訳) 岩波書店 1992年
 なぜ、アメリカ大陸にヨーロッパ系の人々が住んでいるのか。征服者であるスペイン人たちが、16世紀に南米で行った収奪と殺戮と支配の実態を教えてくれる本です。現代世界の物質的豊かさや文化が、歴史的な強者による弱者の搾取と支配の上に成り立っていることを突きつける本です。
[OPAC]

『ボランティア―もうひとつの情報社会』

金子郁容 岩波書店 1992年
 ボランティアは「善意」でも「無償奉仕」でもなく、自分を他者や世界とつなぐこと。「与えることは与えられること」という関係に基づき、まず自分から「与える」行為がボランティアだと筆者は考えます。益々、金儲け主義がはびこる現代社会で、カネには代えられない「喜び」「充実感」を得える行為が重要であることを教えてくれます。
[OPAC]

『「南進」の系譜』

矢野暢 中央公論社 1975年
 日本が明治以降、「脱亜入欧」によってアジアを侵略する過程で、東南アジア(南洋・南方)へも進出する過程が良く説明されています。日本の影響力が最も強い地域のひとつである東南アジアについて、以外に知らない人が多いと思いますが、明治以降日本と不平等な関係の歴史的な形成過程を知る良い本です。
[OPAC]

『論文の書き方』

清水幾太郎 岩波書店 1983年
 文章の書き方の本はたくさんありますが、本書は大学生にとっての文章の書き方を教えてくれる古典です。簡潔に分かり易く書くことが文章の命であることが分かりやすく書いてあります。
[OPAC]