学生に薦める本 2010年版

山下 功

日本人の情報技術者魂を熱く語る、6冊。

『プロジェクトファシリテーション クライアントとコンサルタントの幸福な物語』

白川克, 関尚弘 日本経済新聞出版社 2009.8
 100年以上の長い歴史をもつ企業である古河電工における、人事システムの更新プロジェクトの実録。本学で「ファシリテーター」というと、国際交流インストラクターなどのワークショップと結びつけられる場合が多いが、情報システムの構築においてもファシリテーターが重要な役割を果たしていることが本書から読み取れよう。
[OPAC]

『旅人をつなぐ“マルスシステム”開発ストーリー』

金子則彦 アイテック 情報処理技術者教育センター 2005.2
 1960~70年代の国鉄を舞台にした、大規模な座席予約システムの開発プロジェクトの実録。今では当たり前になったサービスを裏で支える情報システムを垣間見ることができる。
[OPAC]

『コンピュータが計算機と呼ばれた時代』

C&C振興財団編 アスキー 2005.12
 1950年代、コンピュータの黎明期の日本人技術者の奮闘記。日本初の電子計算機が、中央研究所や大学ではなく、民間企業の一人の技術者によって作られたことが特筆できる。
[OPAC]

『新装版 計算機屋かく戦えり』

遠藤諭 アスキー 2005.11
 戦前から戦中・戦後にかけて、計算機の研究開発に携わったた技術者やその関係者へのインタビューを収録。技術立国が昔も今も重要であることを再認識することができよう。
[OPAC]

『アナログを蘇らせた男』

森谷正規 講談社 1992.7, 1995.4文庫化
 アナログの良さを評価し、レコードがもつ情報の忠実な再現に情熱をかけた寺垣武氏と、彼を支援したオーディオテクニカ社の熱闘の記録。MP3などの圧縮デジタル音源に耳慣れてしまった現在、高音質のオーディオに食指が動く一冊。
[OPAC]

『チップに賭けた男たち』

ボブ・ジョンストン著, 安原和見訳 講談社 1998.12
 トランジスタ、IC、発光ダイオードなどの半導体分野を中心に顕著な成果を挙げた無名の日本人技術者たちを追ったドキュメンタリー。短期的視点が故に革新的な研究開発成果を事業化に結びつけることができなかった米国の巨大企業、大学での研究成果を活かすことができる企業がなかった英国、米英では使い物にならないと思われていた技術を追究して事業化に成功した日本企業。この三者の対比を読み取ってほしい。日本人には独創性がなく、欧米の真似をしているというのが嘘であることを明らかにする一冊。
[OPAC]