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学生に薦める本 2001年版
熊谷 卓
『法の究極に在るもの(新版)』
- 尾高朝雄 有斐閣 1997年
本書は、国内法および国際法の本質および理念について叙述するものである。その際、法と経済、法と政治の関係についても触れられている。新版といっても1965年に発行されており、その意味では法哲学分野の著作の古典であるが、本書において書かれていることは法を取り巻く今の状況を検討するとき、有用な分析視覚を与えてくれると思う。
『河童が覗いたインド』
- 妹尾河童 新潮文庫 1985年
作家、随筆家として活躍するのみならず、もともと舞台芸術家としての職歴を有する著者による「河童が覗いた…」シリーズ(熊谷が便宜上こう呼んでいます)の1つが本書である。著者は1978年および1983年の2度、通算して3ヶ月の間、インドを訪れた際の出来事について記述する。少なくとも2頁ごとに現れる著者自身のイラスト、特に宿泊したホテルの部屋に関する細密イラストを目にしつつ、本書を読み進んでいくといつも「はやくインドに行ってみたい」という気が湧き出てくる。
『どんべえ物語-ヒグマと2人のイノシシ』
- 畑正憲 角川文庫 1976年
『さよならどんべえ』
- 畑正憲 角川文庫 1981年
ここ10年ぐらいは、畑正憲というよりもむしろ「ムツゴロウ」と呼ばれることが多く、その上、やたらと動物とじゃれ合っている(かみついたり、抱きついたり)映像が流されていたため、相当変わった老人なのではないかという印象を世間の人々に持たれているであろう著者による2つの作品である。この2冊は、著者が、エゾヒグマを飼ってみたいという念願から、エゾヒグマの雌「どんべい」を譲り受け、北海道東部の小さな島で育てた年月の生活を記したものである。本書では、どんべいを育てるに際しての日々の格闘について詳細に既述されているともに、著者の妻や娘のこと、当時の北海道(道東地域)の事情も触れられている。そもそも著者は「どんべい」を育てるために本州から北海道に移住し、以後、数多くの動物と暮らすことになる。しかし、本書を読むと、同氏が最も愛情を注いだのは「どんべい」ではなかったかと思われてくる。