学生に薦める本 2001年版

樋口 光明

『川島雄三、サヨナラだけが人生だ』

藤本義一 河出書房新社 2001年
 没後38年にもなる川島雄三という映画監督については、若い人は馴染みがないだろう。また、「幕末太陽傳(1957年日活)」以外は語られることも少ない。学生時代から彼の下でシナリオを書いていた作家の藤本義一が川島の破天荒な生き方を、小説、エッセイ、講演、対談等で浮き彫りにする。藤本が一緒に書いたシナリオ「貸間あり(1959年東京映画)」も収録されているが、原作者の井伏鱒二が激怒したほど変な映画だった。しかし、この本は映画よりずっと面白い。
[OPAC]