学生に薦める本 2009年版

小澤 治子

『アフガニスタン 戦乱の現代史』

渡辺光一 岩波書店 2003年
 最近日本のマスコミでアフガニスタンについて、報道されることはめっきり少なくなった。しかし、混乱はずっと続いている。植民地時代,冷戦期,そして「対テロ戦争」の時代,民衆はいつも犠牲になってきた。この本は,19世紀から21世紀初めのアフガニスタンの歴史をわかりやすく解説している。
[OPAC]

『いま平和とは――人権と人道をめぐる9話』

最上敏樹 岩波書店 2006年
冷戦が終わっても世界は平和にならなかった。かえって新しい種類の戦争が起こってしまった。いったい平和とは何なのだろうか。そんな問いかけに答えて,人権の持つ意味、国連や国際法の役割と限界,市民の果たすべき役割について、著者のテレビ番組での講座をもとにまとめた本である。なお私は本書を2年前期のゼミのテキストとして、ここ数年使っている。好評!
[OPAC]

『アメリカよ,美しく年をとれ』

猿谷要 岩波書店 2006年
まずタイトルが面白い。この本はアメリカ史専門の著者が(著者は1923年生まれ)自身のアメリカとのかかわりや様々なアメリカ体験またエピソードを交えながら,さらにブッシュ前政権の政策への批判を込めてアメリカの歴史を語っている。オバマ政権の誕生を著者はどうみているだろうか。そんなことも聞いてみたくなる。
[OPAC]

『国境・誰がこの線を引いたのか――日本とユーラシア』

岩下明裕編著 北海道大学出版会 2006年
 今日日本はロシアや韓国,また中国と領土問題を抱えている。時には感情的な議論も行われている。でも領土や国境線とはいつ、誰が、どうやって決めたのだろうか。この本は2005年に北大スラブ研究センターで行われた公開講座をもとに、日本や旧ソ連,中国,インド,韓国などの「領土問題」を各分野の専門家がまとめたものである。第1章は「日本の外で『固有の領土』論は説得力をもつのか」、私達はまずそこから出発する必要があるだろう。
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『蟹工船 党生活者 かにこうせん とうせいかつしゃ』

小林多喜二 新潮社 2003年
 この本の著者小林多喜二(こばやしたきじ)の名前を知っている若者はほとんどいないと思っていたのだが、最近の日本の経済状態の悪化,雇用や失業問題の増大,格差社会の広がりの中で,若者の間でちょっとしたブームだという。この本はジョイでも売っていた。1903年生まれの著者は社会主義に傾倒し,日本のプロレタリア文学の代表的作家である。この二つの作品は代表作とされている。20世紀末のソ連の解体もあって、「今さら社会主義なんて」と思われた時期もあった。しかし、、、、、なのであろう。著者は1933年,警察により拷問を受け,虐殺された。今日一応何でもものの言える時代に生きている私達には、それなりに果たすべき役割がある、そんなことを思いながら本書を薦める。
[OPAC]