学生に薦める本 2009年版

吉原 百合子(図書館)

『土を喰ふ日々』

水上勉 文化出版局 1978.12
少年時代に京都の禅寺で精進料理を覚えた著者の料理指南書である。”土を喰らう”というのは、”旬を喰らう”ということであり、大地からの恵みである食物は、たとえ根っこ1本でも無駄にしてはならない、という禅の精神が貫かれている。紹介されている料理のすべてを味わってみたいと思うのであるが、普段、やわらかく調理され、化学調味料で味付けされた食物に慣らされてしまっている舌がどのように感じるのか。多少不安である。
[OPAC]

『医者が泣くということ』

細谷亮太 角川書店 2007.5
聖路加国際病院に勤務する小児科医の日記。何気ない日常の一コマ一コマに著者の愛情があふれていて、特に子どもに向けられる目はとてもあたたかい。俳人でもある著者の俳句も載せられていて、読むたびにほのぼのとした気持ちにさせられる1冊である。
[OPAC]