図書館HOME>各種資料・学生に薦める本>学生に薦める本
学生に薦める本 2026年版
佐藤 泰子
『新潟往来 : 旅人のまなざし』
- 永田幸男 新潟日報社読者局出版企画部 2025年
『Unbeaten tracks in Japan : Webstaer's Jpanese Thesaurus Edition』
- Isabella L. Bird ICON Group International, Inc. 2016年
『地球の歩き方:新潟〈2026~2027〉』
- 地球の歩き方編集室 Gakken 2026年
『わたしはコンシェルジュ』
- 阿部佳 講談社 2010年
『お客様の"気持ち"を読みとく仕事コンシェルジュ : ホスピタリティのプロを目指すあなたへ』
- 阿部佳 秀和システム 2015年
2020年7月、コロナ禍のさなかに刊行された『ミシュランガイド新潟2020特別版』から6年が経過した。この間、海外渡航の制限を契機として、従来は海外旅行ガイドとして広く知られてきた『地球の歩き方』が国内版を展開し、その一環として新潟版が刊行されたことは注目に値する。
本書は、観光情報の提供にとどまらず、新潟の食文化(ガストロノミー)や地域固有の言語表現(方言)、さらに「日本一」「日本初」といった多様な視点から地域の魅力を紹介している点に特徴がある。これにより、読者は新潟という地域を多角的に理解することが可能となる。
中でも、読者の投稿をもとにした方言コラムは示唆に富む。例えば「しねばいいのに」という表現は、一般的には強い否定の意味に受け取られがちであるが、新潟では「その必要がない」「しなくてもよい」と言った意味で用いられる場合がある。また、「新潟に行く」という言い回しが、市民にとっては万代・古町といった中心市街地への移動を指すこともあるなど、地域特有の感覚がうかがえる。これらの具体例は、言葉の背後にある文化や生活感覚への理解を深める手掛かりとなる。
本書は、豊富な情報量と読みやすさを兼ね備えた実用的なガイドであると同時に、地域理解を促す読み物としても価値が高い。観光に関心を持つ学生のみならず、留学生やインバウンド分野を学ぶ者にとっても、本書は地域の文化的背景や言語的ニュアンスを的確に捉えており、『地球の歩き方』が40年以上にわたり培ってきた豊富な情報量と信頼性に支えられた内容となっている。地域の文化や歴史を丁寧に掘り下げている点においても、訪問者に新潟の魅力を伝える上で有益な資料である。
ガイドについて(推薦図書)
本書は、観光情報の提供にとどまらず、新潟の食文化(ガストロノミー)や地域固有の言語表現(方言)、さらに「日本一」「日本初」といった多様な視点から地域の魅力を紹介している点に特徴がある。これにより、読者は新潟という地域を多角的に理解することが可能となる。
中でも、読者の投稿をもとにした方言コラムは示唆に富む。例えば「しねばいいのに」という表現は、一般的には強い否定の意味に受け取られがちであるが、新潟では「その必要がない」「しなくてもよい」と言った意味で用いられる場合がある。また、「新潟に行く」という言い回しが、市民にとっては万代・古町といった中心市街地への移動を指すこともあるなど、地域特有の感覚がうかがえる。これらの具体例は、言葉の背後にある文化や生活感覚への理解を深める手掛かりとなる。
本書は、豊富な情報量と読みやすさを兼ね備えた実用的なガイドであると同時に、地域理解を促す読み物としても価値が高い。観光に関心を持つ学生のみならず、留学生やインバウンド分野を学ぶ者にとっても、本書は地域の文化的背景や言語的ニュアンスを的確に捉えており、『地球の歩き方』が40年以上にわたり培ってきた豊富な情報量と信頼性に支えられた内容となっている。地域の文化や歴史を丁寧に掘り下げている点においても、訪問者に新潟の魅力を伝える上で有益な資料である。
ガイドについて(推薦図書)
※2026年度の推薦本は図書館内のトピックコーナーに配架されています。(一部購入できないものを除く)











本書の最大の魅力は、副題「旅人のまなざし」に象徴されるように、31名の著名人による記録や見聞を通じて、新潟の近現代史と地域文化を立体的かつ臨場感豊かに浮かび上がらせている点にある。中でも、イザベラ・バードの『日本奥地紀行』に描かれた新潟の堀の風景と、英国外交官アーネスト・サトウによる対照的な記述との比較は印象的である。バードは、掘にかかる橋や小舟、両岸の柳並木を「絵のように美しい」と称賛した。一方で、サトウは同じ堀を「狭くて汚く、ドブといった方がふさわしい」と記している。同一の場所に対する評価が、ここまで大きく分かれるのはなぜか。本書は、この問いを手掛かりに読者を明治期の新潟へと誘い、風景の背後にある時代の姿を浮かび上がらせていく。両者の記述の差異がどこから生じたのか、その答えは、ぜひ、本書を手に取って確かめてほしい。
さらに、本書の装丁にも注目したい。帯には、本書で取り上げたれている主な旅人として、尾崎行雄、太宰治、森鴎外らの肖像が並び、読者の関心を喚起する構成となっている。中でも尾崎行雄については、自由民権運動の指導者として知られる一方で、新潟新聞(日報の前身)の主筆として1879年に新潟に赴任していた事実が紹介されており、地域と近代日本の知識人との新たな接点を示している。さらに、わずか20歳で論説の中枢を担い、「新潟習俗改良論」において両性平等の思想を社説として繰り返し論じた点も特筆に値する。これらの記述は、本書がもたらす知的発見の一端を象徴している。
本書では、平易で親しみやすい語り口を持ちながらも、史実に裏打ちされた確かな内容を備え、読み物としての面白さと資料としての信頼性を高い次元で両立している。この点において、本書は新潟という地域を理解するための決定版ともいうべき一冊であり、初学者から関心の高い読者に至るまで広く推奨される。
とりわけ学生に対しては、地域を外部の視点から捉え直す思考を養う教材として強く推奨したい!さらに、通訳ガイドの視点から見ても、多様な時代の記録に基づき、地域の歴史や文化的背景を具体的に理解できる点で、訪問者に新潟の魅力を的確かつ深く伝えるための必須資料である。
イザベラバード著(推薦図書)