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学生に薦める本 2005年版
広瀬 貞三
『高橋是清自伝』全2巻
- 高橋是清・上塚司編 中公文庫 1976年
第20代総理大臣高橋是清(1921~1922)の回想録。1854年江戸生まれ。14歳から海外を流浪し、1881年農商務省に入省する。1906年横浜正金銀行総裁に、1911年には日本銀行総裁となる。その後、大蔵大臣を歴任する。原敬暗殺の後を受け、政友会総裁として組閣。1927年の金融恐慌では手腕を発揮し、危機を克服する。1934年岡田啓介内閣の大蔵大臣に就任。在任中の1936年、二・二六事件で殺害される。享年83。
『明治・大正・昭和政界秘史―古風庵回顧録』
- 若槻禮次郎 講談社学術文庫 1983年
第25・28代総理大臣若槻禮次郎(1924~1926、1931)の回想録。1866年島根県生まれ。1892年大蔵省に入り、次官まで登りつめる。第3次桂太郎内閣で大蔵大臣となり、立憲同志会(後の憲政会)に参加する。苦節10年の後、加藤友三郎が病死すると組閣。退任後はロンドン軍縮会議の日本首席全権となる。民政党の浜口雄幸総理がテロに倒れると、再度組閣。在任中に柳条湖事件が起き、関東軍を抑えるのに腐心する。1949年死去。
『岡田啓介回顧録』
- 岡田啓介・岡田貞寛編『 中公文庫 1987年
第31代総理大臣岡田啓介(1934~36)の回想録。1868年福井県生まれ。海軍兵学校、海軍大学校を卒業。1924年に海軍大将となり、1927年田中義一内閣の海軍大臣に就任する。1930年軍事参議官として、ロンドン海軍軍縮条約の調印に尽力する。1934年に斎藤実の後を受け、首相となる。1936年の二・二六事件で反乱軍が首相官邸を襲撃し、九死に一生を得た。敗戦末期には反東条英機運動の中心的役割を果す。1952年死去。
『外交五十年』
- 幣原喜重郎 中公文庫 1986年
第44代総理大臣幣原喜重郎(1945~46)の回想録。1872年大阪府生まれ。外務省に入り、1919年駐米大使となる。1921年ワシントン軍縮会議に全権委員として参加。1924年以降、2回にわたって憲政会、民政党内閣の外務大臣を務める。この間、国際協調(特に米英)、中国への不干渉、経済利益優先などを特徴とする「幣原外交」を展開する。1931年に政界を引退。敗戦直後、首相となり、新憲法の作成に尽力する。1951年死去。