学生に薦める本 2007年版

澤口 晋一

『新潟地図ウオッチング』

新潟地図ウオッチング編集委員会編 新潟日報事業社 2006年
 みなさんは「地形図」と呼ばれる地図を見たことがあるでしょうか?
 地形図は、2次元座標上に描かれた等高線という曲線を読むことで、3次元的な空間認知を可能にするものです。つまり地形図を見るということは、その土地を真上から立体的に俯瞰することにほかなりません。さらにさまざまな地図記号によって、どこに何があるのかはもとより、土地利用や植生の状態、場合によっては地質までも大雑把に把握できてしまう。地形図こそは地理的情報の宝庫なのです。
 本書は、新潟県内から109地域を取り上げ、主に国土地理院発行の「1/2.5万地形図」を用いながら、その土地における特徴的な自然景観、産業、文化遺産等を簡潔に紹介したものです。読者は見学ルートの入った地形図をじっくり眺めながら解説を読むことによって、文章だけでは到底得られないさまざまな情報の把握が可能となります。
 本書に掲載された地形図の中に、自分の生まれ育った場所が含まれているという人は少なくないかもしれません。しかし、そこがどんなところかを地形図上で実際に確認したことがある人は、ほとんどいないのではないでしょうか。国際化も大切ですが、自分の地元を知ることはもっと大切なことだと私は常々考えています。本書は、新潟をより深く知りたいと考えている人のためのガイドとして、あるいはテキストとして最適な1冊です。
[OPAC]