学生に薦める本 2024年版

佐々木 寛

<戦争と平和を考える>


昨年は、多忙のあまりこの推薦をスキップしてしまいましたが、一昨年(2022年度)に続き、今年のテーマも戦争について考えたいと思います。ウクライナやパレスチナでの「ジェノサイド」を、私たちはただ指をくわえて見ているだけなのでしょうか。戦争の悲劇は、本当に地球の裏側の他人事なのでしょうか。この現在もっとも切実な問題を考えるためのテキスト6冊をご紹介します。

『権力、政治、文化 : エドワード・W・サイード発言集成』上下巻

エドワード・W・サイード 太田出版 2007
戦争が世界大に波及する今、誰よりもしっかりと読み直すべきなのは、パレスチナ出身の世界的な知識人、エドワード・サイードさんではないかと思います。
[OPAC]

『ガザに地下鉄が走る日』

岡 真理 みすず書房 2018
パレスチナ問題に、40年以上関わってきた研究者のエッセイ集。読めば、私たちの世界全体が、いかに「パレスチナ化」=「強制収容所化」しているのかがわかります。
[OPAC]

『戦争から戦争へ : ウクライナ戦争を終わらせるための必須基礎知識』

エドガール・モラン 人文書院 2023
正直、ウクライナ戦争に関する本で、お薦めの良い本は多くありません。この本はその例外で、まさに〈状況〉の中で、〈歴史〉を踏まえた深い〈思考〉を促す良書です。
[OPAC]

『平和理論入門』

オリバー・リッチモンド著 ; 佐々木寛訳 法律文化社 2023
平和をいかに構築するか。現代平和理論の最先端です。筆者自身が、世界中の紛争構築の現場で経験を積み、「ハイブリッドな平和」という新しい概念を創出しました。
[OPAC]

『平和学事典』

日本平和学会 編 丸善出版 2023
平和のことを、中心的なテーマとして真剣に学び、研究しましょう。現代日本の平和学の集大成です。
[OPAC]
※2024年度の推薦本は図書館内のトピックコーナーに配架されています。(一部購入できないものを除く)