学生に薦める本 2024年版

高井 英希(情報センター課)

『八月の御所グラウンド』

万城目学 文藝春秋 2023

『鴨川ホルモー』

万城目学 角川書店 2009

『ホルモー六景』

万城目学 角川書店 2010

『プリンセス・トヨトミ』

万城目学 文藝春秋 2011

『かのこちゃんとマドレーヌ夫人』

万城目学 角川書店 2013

『バベル九朔』

万城目学 KADOKAWA 2019

『パーマネント神喜劇』

万城目学 新潮社 2020
『八月の御所グラウンド』は2024年1月の選考会で第170回直木賞の受賞が決まりました。
作者の万城目学は2006年『鴨川ホルモー』でデビューした翌年いきなり第2作『プリンセス・トヨトミ』で直木賞候補になります。
以降、直木賞候補にノミネートされては落選を繰り返し、6回目のノミネートとなる『八月の御所グラウンド』で受賞となりました。
2023年12月忘年会で「どうせあかんねん」といじけていた万城目に対し、「それはいかん、直木賞は祭りだ」と森見登美彦、上田誠、綿矢りさが「待ち会」を企画、喫茶「ルノアール」の会議室でUNOをして待ったそうです。
正直、この『八月の御所グラウンド』が、過去に落選した万城目の作品とくらべて最高傑作か?と訊かれれば、私は「うーん」と首をかしげてしまいます。長編ではなく今一つ物足りなかったのですが、読後の満足度は充分だったし、「万城目ワールド」と呼ばれ愛される、現実とファンタジーの混沌の加減が、メジャー文学賞にはちょうどいい塩梅だったのでしょう。
本作品の舞台はデビュー作以来となる京都です。京都大学出身の万城目にとって原点とも言える京都の大学生の物語であるデビュー作『鴨川ホルモー』とその続編『ホルモー六景』もあわせてお勧めします。
何が最高傑作かそれは人それぞれですし、読んだ時の年齢、環境により感想は常に変化していきます。今のあなたの最高傑作を探してください。
さまざま書評やインタビュー記事・TV・ラジオ番組に出演と露出が格段に増えました。さすが直木賞。受賞により過去作品が重版されました。本学図書館に無い『プリンセス・トヨトミ』『かのこちゃんとマドレーヌ夫人』『バベル九朔』『パーマネント神喜劇』もリクエストを込めて推薦します。彼は連載・単行本・文庫本と大きく書き直すことがあります。読み比べるのも楽しいです。
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『親の期待に応えなくていい』

鴻上尚史 小学館 2021

『「空気」を読んでも従わない‐生き苦しさからラクになる』

鴻上尚史 岩波書店 2019
今年も引き続きお勧めします。

私は親の過干渉との戦いで膨大なエネルギーを使いました。今も使っています。これからも、ずっと続くのでしょう。
また、本当は違うことをしたいのに、周りの人達の目が気になって、ガマンすることは誰にでもあるでしょう。
私をはじめとして、今、私の周りにいる人達も圧力をかける人・圧力をかけられる人、圧力をかけて何とも思っていない人・悩んでいる人がたくさんいます。
親から大切にされている方、他人との関係を大切に思う方、一度読んでみてはいかがでしょうか。
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『古本屋台』(第1巻~第2巻)

Q.B.B. 集英社、本の雑誌社 2018
『孤独のグルメ』原作者の久住昌之と実弟でイラストレーターの久住卓也によるユニット「Q.B.B.」
版元を変えて2024年に新刊がでました。
帯には次のような文章が(以下抜粋)
「あのシブ過ぎる屋台が返ってきた!
夜ふけになると現われる一台の屋台。提灯には「古本」の文字。
焼酎白波一杯100円。ただしお代わりなし。老屋台主、キビシイ。
何も起こらないのに、夜な夜な老若男女が集まるそのわけは!?
さあ、あなたも勇気を出して、古本屋台の前に足を勧めたまえ!」
まだ読んでいないけど。これだけでお薦めします。
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※2024年度の推薦本は図書館内のトピックコーナーに配架されています。(一部購入できないものを除く)