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学生に薦める本 2024年版
藤本 直生
今年度は、戦争と平和をテーマに選びました。コロナ禍が落ち着いたと思ったら、ロシア・ウクライナやパレスチナ・イスラエルの戦争が勃発しました。今回紹介する本やDVDは、戦争や紛争と平和を願う著書やDVDを取り上げていますので、ぜひ手に取ってみて下さい。
『Jojo’s Story』
- Antoinette Moses Cambridge University Press 2000
15歳未満のこども兵士がアフリカには多くいるそうです。その子たちはなぜ兵士になるのでしょうか。この本では、Jojoという名の一人の少年が、どのようにしてこども兵士にならざるを得なかったかが描かれています。Graded Readers レベル2の簡単なボキャブラリーで、これだけの深刻な内容が学べることに驚きを持って読みました。
『I am Malala : the girl who stood up for education and was shot by the Taliban』
- Malala Yousafzai Back Bay Books 2015
著者のマララ・ユスフザイさんは、2012年にパキスタンで女子教育を禁止するイスラム原理主義勢力タリバンを批判したという理由で、学校へ行く途中にスクールバスの中で頭を銃で撃たれました。さらに、2014年には史上最年少の17歳で、ノーベル平和賞を受賞したことで有名です。私は、この本を数年前にイギリスの書店で見つけて購入し、読みました。300ページ以上もあるぶ厚い本ですが、家族や学校の写真などもたくさんあって、読みやすかったです。日本語翻訳版も出ていますから、こちらも併せて読んでみて下さい。
『わたしはマララ : 教育のために立ち上がり、タリバンに撃たれた少女』
- マララ・ユスフザイ 学研パブリッシング 2013
この本はもともと英語で出版された、I am Malalaの日本語版です。こちらを読み終えた方は、ぜひ原書も方も併せて読んでみて下さい。
『Captain Corelli's mandolin』
- Louis de Bernières Pearson Education 2001
1940年代の第2次世界大戦中にイタリア軍の占領下であった、エーゲ海のケファロニア島が舞台となっています。ギリシャ人で医者の娘であるペラギアと、マンドリンを弾くイタリア人のコレリ大尉との恋愛が物語の中心となっています。小さな島に地元ギリシャ人、イタリア人兵士、それからドイツ人兵士も加わり、戦争の悲惨さと残酷さに驚きながらも、話の展開にハラハラ、ドキドキしながら読みました。この本をもとにした映画も出ていますので、こちらも併せてご覧下さい。
『コレリ大尉のマンドリン』(DVD)
- ジョン・マッデン監督 ワーナー・ホーム・ビデオ 2012
こちらの映画は、エーゲ海に浮かぶ島が舞台となった小説 Captain Corelli’s Mandolinがもとになっています。この映画がリリースされたのは2001年ですが、その頃私はイギリスの大学に留学していました。学生寮に住んでいましたが、寮生の中にギリシャ人の学生がいて、彼女と一緒にこの映画を観に行きました。主役のコレリ大尉をニコラス・ケージが、ヒロインの村娘役を何とスペイン人のペネロペ・クルスが演じていました。「ギリシャ人の役をスペイン人がやるってどう思う?」と彼女に聞くと、「まあ、何人がやってもいいんじゃない。ギリシャ人といってもいろいろな人がいるから。」と大らかな答えが返って来ました。もちろん、よく日焼けしたオリーブ色の肌のペネロペ・クルスは、コバルトブルーの海と紺碧の青空にぴったりのヒロインでした。
『Snow falling on cedars』
- David Guterson Pearson Education 2008
本書の序論によると、この小説は1950年代アメリカのワシントン州の小さな島の架空の町、Amity Harbor が舞台となった小説です。そこには、ドイツ系、北欧系、日系などのさまざまな人種の住民がいて、真珠湾攻撃から始まった第2次世界大戦の数年後ということで、同じアメリカ人であるにもかかわらず、日系人に対する偏見に焦点が当てられています。ある日、海岸で頭に傷を負った遺体が発見され、日系人の漁師ミヤモトが容疑者として逮捕されました。新聞記者のイシュマイルは、この事件を独自に調査することとなりました。というのも、ティーンエイジャーの頃イシュマイルとミヤモトの妻ハツエは恋人同士だったのです。はたして、ミヤモトの容疑は晴れるのでしょうか。
『ヒマラヤ杉に降る雪 : Snow falling on cedars』(DVD)
- スコット・ヒックス監督 ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン 2004
こちらの映画は、アメリカの小説Snow Falling on Cedarsがもととなっています。日系人のヒロイン役を工藤夕貴さんが演じています。題名にもなっている「ヒマラヤ杉に降る雪」の映像がとても美しい映画です。小説と併せてぜひ観て下さい。
『続 窓ぎわのトットちゃん』
- 黒柳徹子 講談社 2023
ベストセラー・エッセイ、『窓際のトットちゃん』の続編です。著者の黒柳徹子さんは、ウクライナで戦争が始まった時、テレビのニュースで危険にさらされる子供たちの様子を見て、ご自身の戦争体験を書いて後世に残したいという気持ちになったそうです。ウクライナや中東で戦争が起こっている今、80年前は日本も戦場だったことがよく分かります。
『はだしのゲン』全10巻
- 中沢啓治 汐文社 1975-1993
小学生の頃、学校の図書館で借りて読みました。著者の中沢啓二さんは、6歳の時に広島で実際に被爆したご自身の体験をもとに、このマンガを描いたそうです。50年ほど前の1973年から約1年間『週刊少年ジャンプ』で連載され、今では、24カ国語に翻訳されて世界各国で読まれています。まさに原爆の恐ろしさが実感できる本で、体の皮がただれてお化けのように歩く人々や、傷口からウジが湧くシーンは50代の私が40年以上前に読みましたが、今でもよく覚えています。子供たちに真実を伝えようとした著者の気持ちが感じられます。
『フジモト先生のビューティフル★アメリカ
~Some Stories in Missouri~』- 藤本直生 銀河書房 1995
この本は今から約30年前、私が長野県の中学校に勤めていた時に教え子のために書いた本です。本校の派遣留学先である University of Central Missouri(UCM)は、アメリカの中西部ミズーリ州にありますが、そこは長野県と姉妹州でもあります。そのような関係で、私は1992年の夏に派遣団の一員として3週間ほど、ミズーリ州で4つの家庭にホームステイさせていただく機会に恵まれました。
アメリカというと自由など、私たちはポジティブなどイメージを持っていますが、アメリカの歴史は戦争の歴史でもあります。例えば、17世紀にヨーロッパから渡ってきた人々が東海岸に植民地を作ってから、もともとアメリカに住んでいたインディアンと呼ばれる人たちは、殺されたり住む場所を奪われたりしました。その数は、400年前の100万人から19世紀後半にはなんと約2万人に減ってしまったそうです。これからアメリカへの留学を考えている人は、ぜひこのような負の歴史にも目を向けてみて下さい。
アメリカというと自由など、私たちはポジティブなどイメージを持っていますが、アメリカの歴史は戦争の歴史でもあります。例えば、17世紀にヨーロッパから渡ってきた人々が東海岸に植民地を作ってから、もともとアメリカに住んでいたインディアンと呼ばれる人たちは、殺されたり住む場所を奪われたりしました。その数は、400年前の100万人から19世紀後半にはなんと約2万人に減ってしまったそうです。これからアメリカへの留学を考えている人は、ぜひこのような負の歴史にも目を向けてみて下さい。
※2024年度の推薦本は図書館内のトピックコーナーに配架されています。(一部購入できないものを除く)