学生に薦める本 2008年版

河原 和好

『ロボットの天才』

高橋智隆著 メディアファクトリー 2006年
 ロボットを見たり聞いたりする機会が増えています。ロボットといっても「鉄腕アトム」のような自分で考えて行動する人間型のものから、ロボットの競技でよく見るような操縦者が操る小型ロボット、そして「機動戦士ガンダム」のようなモビルスーツ型までたくさんの種類があります。
 この本は世界初の「ロボットクリエーター」高橋智隆さんの半生記(立命館大学産業社会学部を卒業後、1年浪人して京都大学工学部に入学し、在学中にロボットの二足歩行に関する特許を申請。その後ベンチャー企業を立ち上げ、ロボットの技術開発・製作・デザインを手がけている)が、ロボットに対する熱い情熱を込めて書かれています。さらに、ロボットに関する技術や文化の話なども書かれています。
 本の中で「ロボットの天才と呼ばれるようになりたい」と高橋さんが言っているように、少し天才的で共感できない部分もありますが、ロボットに興味のある人はもちろん、「ものを作ること」に興味のある人は、読んでいて面白いと思います。従来とは異なる二足歩行の仕組みや、「ロボカップ」等のロボット競技会やイベントの状況を知ることができます。
 さらに、「鉄腕アトム」「PLUTO」「超時空要塞マクロス」「ドラえもん」「プラレス三四郎」「プラモ狂四郎」「機動戦士ガンダム」「ガンプラ」などのアニメやマンガに興味のある人、高橋さんのロボットデザインに影響を与えたカーデザインに興味のある人も、それぞれの観点から興味が持てると思います。また、高橋さんは京都大学のベンチャー支援の第1号としてロボ・ガレージを立ち上げていて、その顛末についても書かれているので、起業について興味のある人も興味をひく部分があると思います。

 
[OPAC]