学生に薦める本 2008年版

吉原 百合子(図書館)

『学問の反乱:漂泊の旅の如く』

山折哲雄 著 佼成出版社
宗教学者、山折哲雄氏の学問遍歴を中心とした自伝である。
決して平穏ばかりではない氏の学者人生の中で、特にマザー・テレサとの出会い、西行への想いなどが熱く語られている。
人生80年の時代において、宗教学という視点から、生きることと同時にいかに老いて死ぬかという課題から決して目を逸らすわけにはいかないという氏のメッセージが胸に響く1冊である。

『ひとり旅は楽し』

池内紀 著 中公新書 2004.4
ひとり旅、皆さんはどんなイメージを持つだろうか。
気ままでいい、なんとなく寂しそう など、人によってとらえ方はそれぞれだと思う。
私はというと、ひとり旅は嫌いではない。ただし傍からはかなり侘しげに見えるらしい。
ドイツ文学者である著者は、ひとり旅の達人でもある。
この本を読むと、ひとり旅は簡単なようで実は非常に奥が深いということをあらためて実感させられる。
[OPAC]

『水木しげるのラバウル戦記』

水木しげる 著 筑摩書房 1997.7
「ゲゲゲの鬼太郎」「河童の三平」などの漫画で知られる水木しげる。太平洋戦争中、ラバウルへ出兵、その時の体験をスケッチにし、説明を加えたものがこのラバウル戦記である。
上官から連日繰り返されるビンタの嵐、飢餓やマラリアの恐怖、時に原住民との心あたたまる交流。
想像を絶する悲惨な状況下にあっても、ユーモアを忘れず、生きのびて日本に戻ることができた水木しげるは、まさに人間ばなれした妖怪といえるかもしれない。
[OPAC]