学生に薦める本 2008年版

佐藤 学(図書館)

『こう変わる学校 こう変わる大学』

遠山敦子著 講談社 2004年
2002年4月より、「ゆとり教育」がスタートした。「ゆとり教育」により、学習内容及び授業時間数の削減と完全学校週5日制が実施され、総合的学習の時間が新設された。
最近では、学力の低下から「ゆとり教育」の失敗がさけばれているが、「ゆとり教育」を開始した側の内容はあまり伝えられていない。
そこで、当時の遠山敦子文部科学大臣が、「ゆとり教育」により何を目指すかを書いた本をお薦めします。著者は、「ゆとり教育」の成果は10年後20年後に出るものという信念をもとに開始したとあるが、残念ながら6年足らずで方向転換となった。確かに、「ゆとり教育」は方向転換を余儀なくされたのだから、失敗なのであろう。「ゆとり教育」を受けてきたみなさんは、どう思いますか。
そもそも、失敗とは何が失敗なのであろうか。学力面では、確かに失敗である。では、学力低下以外はどうなのであろうか。学力低下のみが注目されて、それ以外の評価は聞こえてこないのが現状です。本書を読むと、必ずしも失敗だらけの教育ではないと感じることができる。学力面では失敗であったが、「生きる力」は確実に身に付いていると思う。今後、数年間の「ゆとり教育」を受けた人達が、社会に出て活躍することを願う一冊です。
[OPAC]