学生に薦める本 2022年版

小林 満男

『ヒューマン・ネットワーク 人づきあいの経済学』

(著者)マシュー・O・ジャクソン,(翻訳者)早川浩 早川書房 2020年
 本書は、全9章で300ページを超える翻訳書です。人のネットワークについて、経済学の外部性(人の行動が周囲の人に影響を及ぼすこと)の見地から研究した成果を分かりやすく説明しています。
 まずは目次に目を通し、興味を持った章から読み進んでもいいでしょう。緻密な研究成果から得られた知見の多くは、実は私たちが日頃感じている内容とかなり重なり合うことに驚かされることと思います。第8章「友達と身近なネットワークの構造」の冒頭に、「知恵ある者とともに歩む者は知恵を得る。愚かな者の友となる者は害を受ける-箴言13章20節」とあります。本書を読むと同時に、自分の周りにいる知恵ある者と思われる人を探してみませんか。自分の行動が周囲の人に影響を及ぼし、そして人とのつながり、ネットワークを豊かにするはずです。本書で述べられている内容を知識としてストックしておくだけでなく、積極的に実践しながら自分のヒューマン・ネットワークづくりに活用して欲しいと思います。
[OPAC]

『ウェルビーイング』

前野隆司・前野マドカ 日経文庫 2022年
 ウェルビーイング(幸せ、健康、福祉)という言葉が昨今、頻繁にメディアに登場しています。特に、企業経営において取り上げられることが多いですが、社会や家庭の領域でも話題になっています。何よりも、個々人にとってのウェルビーイングとは何かを考えてみることが大事かと思われます。
 日本の幸福度は国連の「世界幸福度報告(2022年度版)」によれば、世界で54位であり、決して高い順位ではありません。また、企業価値として近年、企業の社会活動や人的資本等の非財務指標なども取り上げられるようになってきています。2021年12月には、分野を超えた研究・発信を行うことを目指した「ウェルビーイング」学会が設立されました。
 まずは、本書でウェルビーイング(良く在ること)の概要を学び、そして本書で紹介している「幸福度診断(Well-Being Circle)」や「しあわせ応援シート」で自分の夢や目標などを確認してみませんか。そういったちょっとした主観を可視化する行為を通して、個々人のウェルビーイングは向上していくのではないでしょうか。
[OPAC]

『「こころの健康塾」教科書 ―職場のストレスが気になるあなたに―』

佐藤 隆一 青山ライフ社 2021年
 本書は、さる11月24日に行われた経営学科3年次生対象の講義科目「人的資源管理」における佐藤隆一氏の“健康経営の実践”と題した特別講義のテキストです。受講生全員に後期授業開始時に本書が配られ、各自予習してきた後に特別講義が行われました。

 本書を皆さんに紹介したい理由としてふたつあります。ひとつは、本書のテーマである職場・大学などにおけるストレスと上手につきあうこと、そのための基本的な知識を得られることです。ストレスの正体をつかみ、セルフケアを身につけて頂きたいと思います。もうひとつは、本書の「はじめに」、「おわりに」と「著者の紹介」のページをぜひ読んでほしいのです。著者がどのような思いで現場のマネジメント業務に従事し、そして「人を大切にする経営」を実践するに至ったのかが伝わってくるかと思います。
 昨今、「well-being(幸福・健康・福利)経営」がよく話題にのぼりますが、人事担当マネージャとして、また担当役員としての実践に裏付けられた内容にぜひ触れてほしいと思います。

 本書には、「あなた自身のセルフケアのア・イ・ウ・エ・オ」とか、読みやすくする工夫が随所に見られるので、気分の爽やかな時に一気に読み通すことをおすすめします。本書が、著者である佐藤隆一氏から図書館に寄贈されたのを機会に、皆さんにご案内いたします。

「人的資源管理」担当(メンタルヘルスマネジメント検定2種取得) 小林満男
[OPAC]
※2022年度の推薦本は図書館内のトピックコーナーに配架されています。(一部購入できないものを除く)