学生に薦める本 1996年版

樋口光明

「そして夜は甦る」

原 尞 早川書房

「私が殺した少女」

原 尞 早川書房

「新宿鮫」

大沢在昌 光文社など

「飛ぶ馬」

北村薫 東京創元社

「夜の 蝉」

北村薫 東京創元社

「秋の花」

北村薫 東京創元社

「ななつのこ」

加納朋子 東京創元社

「魔法飛行」

加納朋子 東京創元社
今、ミステリーが一番面白い。読書に権威は必要ないけど、権威が好きな人のために 言うならば、主要な文学賞は、殆んどミステリーが受賞している。

私が勧めるのは、原りょう(寮から``うかんむり''を取った字)の沢崎シリーズ、 「そして夜は甦る」「私が殺した少女」など4作(いずれも早川書房)である。 また大沢在昌の「新宿鮫」シリーズも面白い。これも5作(光文社など)まで出 ている。この二人の作品は、1作目でハマッタ人は、何も言わなくても全部読 みたくなるだろう。

殺人や暴力は苦手と言う人には、北村薫の円紫と私シリーズ「飛ぶ馬」「夜の 蝉」「秋の花」と加納朋子の「ななつのこ」「魔法飛行」(以上5作東京創元社) がお勧めである。心優しい読者がきっと満足する読後感だろう。

もっと上級者には、船戸与一の「砂のクロニクル」(毎日新聞社)や高村薫の 「リヴィエラを撃て」(新潮社)などがスケールが大きくて面白いのだが、読む のにかなり体力がいる。これまで読書の習慣がなかった人には、エネルギーが 余り要らない内田康夫あたりから読み始めることを勧める。この人は作品が多 くて勧めるのに困るけれど、「平城山を越えた女」(講談社)はどうだろうか。 私はこの本で新潟出身の歌人、会津八一のことに興味を持った。本を読んだ後、 また別のことに関心が移るのも本を読む楽しみである。