学生に薦める本 2006年版

安藤 潤

『John Wooden's UCLA Offense』

John Wooden Human Kinetics 2006年
John WoodenはかつてUCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)バスケットボール部を率い、12年間で10回も全米大学選手権のタイトルを手にした名ヘッドコーチである。
 この本はもちろんすべて英語で書かれている。しかし、かなりの部分がバスケットボール用語であるので、バスケットボール経験者なら、なんとなく読めるかもしれない。バスケットボール経験者であれば、この本を読むことでバスケットボールを通じてこれまでに学んだ英語の構文、語法、文法などを確認できる。また、付属品のDVDではすべてのフォーメーションを観ることができる。何回も繰り返し視聴することで、バスケットボールの勉強にもなるし、少なくともバスケットボール用語を聴き取れるようになると思う。
 バスケットボールを学ぶ手段としての英語という観点からも、ぜひ本学バスケットボール部の学生はもちろん、多くの学生にも読んでもらいたいし、DVDを観て英語を耳に入れて欲しい。
 そう言えば私がまだ中学生の頃、なぜかUCLAのトレーナーが流行したが、彼の偉業を知ってその理由の1つがわかったような気がする。
[OPAC]

『金田一耕介ファイル5 犬神家の一』

横溝正史 角川文庫 1972年
角川映画第1作として当時大きな話題となった「犬神家の一族」が帰ってくる。犬神佐兵衛が残した莫大な遺産の相続をめぐり、次々に起こる殺人事件は、その凄惨な映像シーンと佐清の白いゴムマスクともに強烈なインパクトを私に残してくれている。
 ただ、横溝正史の作品では、連続して起こる恐ろしい殺人事件や、直接的な殺人の動機を知って「なるほど」と納得して終わらないでほしい。横溝正史がこの世を去ってなお、作品を通じて我々、そして日本社会に問うているのは何か。おそらく、昔から本質的にはまったく変われないでいる我々を、そして日本社会をあの世から眺めて、彼は今日もほくそえんでいるような気がしてならない。
 金田一耕介シリーズはテレビでも映画でも多くの作品が残され、今はDVDで観ることができる。「獄門島」、「悪魔の手毬唄」、「本陣殺人事件」、「悪魔が来たりて笛を吹く」など併せて読み、DVDを観れば、横溝正史が伝えたいことがなんとなくわかるのではないかと思う。
[OPAC]