学生に薦める本 2013年版

佐々木 寛

3年前の2010年に引き続き、今年度のテーマは、「新しい〈文明〉のために」第2弾。この国も世界も、部分的な修復だけではどうにもならなくなりつつあります。まるで古くなった原発のように、いくら修理を重ねても、小さな金属疲労や制度疲労が次なる大きなシステム・ダウンを準備しているようです。私たちは「次のための」準備を始めましょう。

『共産主義者宣言 平凡社ライブラリ- 』

マルクス,カール【著】 金塚 貞文【訳】 平凡社
現代資本主義の根本的な矛盾を、マルクスはすでに19世紀に、グァシッ!とわしづかみしていました。彼の分析の射程はすごいですよ。まずはここから出発です。
[OPAC]

『緑の政治ガイドブック - 公正で持続可能な社会をつくる ちくま新書 』

ウォール,デレク【著】 白井 和宏【訳】 筑摩書房
次に、政治の回復(革命)はいかにして可能か。テロ・戦争・独裁以外に残された道は、公正で持続可能な社会の側から創り出される新しい政治だけです。
[OPAC]

『手仕事の日本 岩波文庫 (改版) 』

柳 宗悦【著】 岩波書店
文化や生活はどうでしょう。まさに戦時中に失われてしまった日本の「民藝」の精神にヒントを見出すことができます。たとえば新潟では、「第一に誇りとしてよいのは『小千谷縮(ちぢみ)』であります。…多くの祖先たちの多くの経験が積み重なって、驚くべき今日の技を成しているのであります」。
[OPAC]

『NVC人と人との関係にいのちを吹き込む法』

ローゼンバーグ,マーシャル・B.【著】小川 敏子【訳】 日本経済新聞出版社
次に教育はどうでしょうか。「偉い人たち」が「無知な人たち」に上から何かを教える、などという明治以来の古臭いスタイルはそろそろ捨て去りましょう。非暴力に基づく相互的ファシリテーションこそ、次なる時代の教育の扉を開きます。
[OPAC]

『プレイング・セルフ - 惑星社会における人間と意味 』

アルベルト・メルッチ著、 新原道信訳 ハ-ベスト社
最後に、一人一人の生き方とアイデンティティはどうでしょう。まさに日々の〈自己〉認識こそ、世界のあり方を決定する最先端の政治的闘技場なのです。
[OPAC]