学生に薦める本 2013年版

押味 京子(学務課)

『くじけないで 』

柴田 トヨ【著】 飛鳥新社
今年の1月に101歳で亡くなった著者が99歳の時に出版された詩集です(飛鳥新社に先立つ自費出版は2009年)。著者の詩の初出は新聞の投稿欄ですが、飛鳥新社より出版されてからはラジオやテレビで取り上げられましたので、詩集の名前は聞いたことのある人もあるかもしれません。
 この詩集に掲載されている詩は平易な文章で書かれていて、難解な現代詩とは一線を画しています。ですから、書かれている状況や気持ちを、自分に重ね合わせやすいのではないでしょうか。ただ、筆者が90歳を過ぎてからの作品ですから、20歳前後の学生ではピンとこない内容のものもあるかもしれません。それでも、表題作の「くじけないで」や「自分に」、「貯金」、「朝は来る」などは、きっと人生の壁にぶつかっている学生への応援歌になると思います。悩んだとき、困ったときには家族だったり、友だちだったり、先生だったり、学生相談だったり、周りにSOSを出すのは大切なことです。『相談』という形をとらなくても、話を聞いてもらうだけでも少しは楽になると思います。けれど、一人静かにこういった詩を読んで、自分の心の在り方、心の持ちようを振り返ってみるのも良いのではないでしょうか。
[OPAC]