学生に薦める本 2012年版

小林 満男

『希望のつくり方』 岩波新書

玄田有史著 岩波書店 2010.10
「停滞する社会に求められるのは一筋の希望、希望が広がる一番の手段は雇用対策の充実、日本にはアニマルスピリットの回復が必要」との玄田有史氏の主張にまったく同感するものである。基礎演習や小林満男研究室に配属されたメンバにも読むことをすすめてきた。希望は与えられるものではなく、自分たちの手で見つけるもの。その能動的な行為の中にこそ希望が生まれる、という基本的なスタンスに学ぶところが多いのではなかろうか。  著者は、希望を“A wish for Something to Come True by Action each other”と英語で定義している。ポイントは、意志をもってそしてお互い(each other)に行動(action)することで、気持ち(wish)・何か(something)を実現(come true)することであるという。

 本書のエキスは、日本経済新聞の経済教室(2011日本の針路③、2011年1月7日)に掲載されているので、こちらも参照されたい。

 本書を読んで希望の実現に向けて、一歩を踏み出そう!
[OPAC]

『新潟県 謎解き散歩』 新人物文庫

花ケ前盛明編 新人物往来社 2011.11
昨年4月から、縁あって新潟にお世話になっている。その新潟のあらましを理解しよとして最初に読んだ本が本書である。この本を持って掲載されている県内の名所旧跡を訪ね歩くのが最近の楽しみである。

 グルメ(新潟の美味、もうひとつの味わい方)や地酒(美味しい日本酒、幻の名酒)の話から、“鳥取砂丘にも負けない新潟大砂丘”、“二年間で造られた港町新潟の基礎”や“大志によって郵便制度を確立した前島密(現上越市出身)”、など意外と知っているようで知らない話を集めているので、ぜひ読んで頂きたい。きっと新潟(越後・佐渡)の偉大さ、魅力をあらためて感じるのではないだろうか。
[OPAC]

『なぜこんなに生きにくいのか』 新潮文庫

南直哉著 新潮社 2011.10
 生き難い人生をいかに生きるのかについて、著者なりの考えをまとめた本である。「いま、ここに生きる意味とは」、「人間関係はなぜ悩ましいのか」、「困難な時代をどう生き抜くか」などの章から構成されている。

  ・深刻な問題ほど「情」ではカタがつかない

  ・自分に価値があるなどと思わないほうがいい

  ・人生の難問は「やり過ごす」のが肝心

  ・人生の判断を他人に預けてはいけない

  ・あるものを得るために、あるものを捨てる    などなど(本書より)。

 時にはふっと立ち止まって考えることがらについて、新しい視点を提供してくれるのではないだろうか。ともかく、一読をおすすめしたい。
[OPAC]

『続ける力 仕事・勉強で成功する王道』 GS幻冬舎新書

伊藤真著 幻冬舎 2008.3
著者の長年にわたる司法試験の受験指導から生まれた本書。「継続は力なり」をまさに地で実践、体験してきた著者の主張は、明快かつ力強い。続ける限り「負け」はない、というゆるぎない信念から発する言葉を、ただ聞き流すのではなくぜひ一読してほしい。

共感するところがあるようであれば、自ら実践してみてはどうだろうか。

 「情熱を持った継続は力なり」を標榜する私にとって共感するところ大である。

 本書で続けることの大切さを学び、そして学び続ける技術を身につけ、「やりたいこと」をやり続ける人生をはじめよう!
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『「話す力」が身につく本 : なぜか人間関係がうまくいく55の法則』 PHP文庫

高嶌幸広著 PHP研究所 2004.1
副題は―なぜか人間関係がうまくいく55の法則―となっている。話すことの大切さ、どのように話したらいいのかについて具体的に説明した本は多い。この本はその中でお薦めしたい本の一つである。

 「男は黙って○○○○ビール」というコマーシャルがあった。「沈黙は金」と言われ、話すことは軽くみられる傾向があるが、むしろ「適切な話はプラチナ」であると私はいいたい。それでは適切な話はどのようにすれば可能となるのであろうか。そのヒントを提供しているのが本書である。

 ぜひ本書を手に取って、つぶやきながら、実際に自分の頭、口など全身を使いながら、そして遊び半分の気楽さで“読んで”欲しい。本書で提示している55の法則(11の基本原則)を身につけたら、一皮も二皮もむけた自分を発見するはずです!
[OPAC]