学生に薦める本 2012年版

佐藤 広樹(キャリア支援)

『世界がもし100人の村だったら【完結編】』

池田香代子編 マガジンハウス 2008.12
9.11直後に出回った1通のメールを書き直したことから始まった、シリーズの5作目。

本書では完結編として「子ども達が生きる未来はどうあるべきか、そのために今なにをすべきかという視点から現在の世界を総ざらえし、進むべき道を見いだそうと」している。

環境、飢饉、感染症・・・。学生時代、自分に何ができるだろうと考えたとき、思いついたのが「まず、知ること」でした。ドネラ・メロウズ(環境学者)が述べる『幸せの5つの条件』を知ったことで、当たり前の生活に感謝と敬意が沸きました。海外へ出る前に必ず読んで欲しい、知って欲しい、作品です。
[OPAC]

『ぼくの描いた戦争』

手塚治虫著 KKベストセラーズ 2004.8
「世の中でなにが一番みじめかといって、戦争ほどみじめなものはない」。巻末の『思い出の記』にて、少年時代を戦時中にすごした著者は述べています。本書は医師で、漫画家の著者が著した、戦争にまつわる作品の短編集です。無防備で瀕死の米兵を、怒り狂った市民達が袋叩きにしている場面に出くわす主人公。乗じて拳を振り上げるが、米兵の顔をみるや顔を背け、場を去ります。その際の一言がなんとも印象的でした。「だれのせいだよ・・・こんな戦争・・・」しかし、そんな彼は市民に「腰抜け」と罵倒されます。(【紙の砦】より)

ブラック・ジャック等、お馴染みのキャラクターも登場するため、「こむずかしい」書物が多い戦争分野ですが、「すっ」と感情移入できる作品です。

(※図書館には改題再構成された『 手塚治虫の描いた戦争』( 朝日新聞出版 , 2010.7)が入っています。)
[OPAC]