学生に薦める本 2014年版

臼井 陽一郎

〈再生〉について考えるための本

『海辺のカフカ 上・下』

村上春樹著 新潮社
おそらくは虐待を受けていたと想像される少年の、おとなへのあゆみ。
[OPAC]
〈再生〉について考えるための本

『ノルウェイの森 上・下』

村上春樹著 講談社
(後半にならないと出てこないサイドストーリーだけど)小学生への性的虐待で社会から離脱したれいこさんの、人生へのカムバック。
[OPAC]
〈再生〉について考えるための本

個人的な体験

大江健三郎【著】 新潮社
妻との間に授かった障害児の死を望み、妻のもとを去り、別のおんなとアフリカへ逃げようとしたおとこの、永遠の体験。
[OPAC]
〈日本〉について考えるための本

『異族 (小学館文庫 中上健次選集2)』

村上春樹著 講談社
この国のすべての被差別者たちの、人間的に極めてリアルな葛藤と闘いの物語。
[OPAC]
〈日本〉について考えるための本

『邪宗門 上・下 (朝日文庫)』

高橋和巳著 朝日新聞社
宗教集団による社会改革運動の帰結について、個別具体の人間像にありありと迫りながら鬼気迫る筆致で描き出した、モダンのジャパンの暴力の歴史。
[OPAC]
〈人間〉について考えるための本

『真剣師・小池重明 (幻冬舎アウトロー文庫)』

団鬼六著 幻冬舎
社会的にどうしようもなくダメなおとこの、きらめく才能と人間的世界の魅力。
[OPAC]
〈人間〉について考えるための本

『千年の愉楽 (河出文庫)』

中上健次著 河出書房新社
死をみとる坊主と生を受ける産婆のめおとが被差別空間・路地のおとこたちを見やる人間絶対肯定の思想。日本文学史上ベストスリーの一つ(個人的にこれまで読んだ中で)。
[OPAC]