学生に薦める本 2014年版

大久保 和子(中央キャンパス企画室)

『知的な英語、好かれる英語 (生活人新書)』

田村明子【著】 日本放送出版協会
英語には敬語はないからくだけた表現でストレートに伝えるのがクール、”yeah””you know?””I wanna”などのネイティブっぽい表現ができたら上級者、などという誤解をしている日本人は多いのではないでしょうか。
コミュニケーションにはマナーがあります。これは日本語を話すときだけでなく、もちろん外国語を話すときも同じです。そして、使うフレーズや言い回しによって、伝わり方や聞き手からの印象が違ってくるのは当然のことです。
本書は著者の長い海外生活での経験をもとに、知的な英語、好かれる英語とはどのようなものなのかを教えてくれます。英語力それ自体を上げるものではないかもしれませんが、英語でコミュニケーションする際の姿勢について考えさせてくれる、一読の価値アリな一冊です。英語が苦手だという人にも、自分は英語は得意だと思っている人にもお薦めします。
[OPAC]

『日日是好日 : 「お茶」が教えてくれた15のしあわせ (新潮文庫)』

森下典子【著】 新潮社
著者が茶道のお稽古を通して成長していく過程を描いたエッセイです。茶道というと、堅苦しく、特にやったことのない人にとっては非日常的なものに感じられるかもしれませんが、本書は茶道に興味がない人にも読みやすい一冊だと思います。
何かを学ぶとき、すぐには腑に落ちなくても、抵抗せずに素直な気持ちで、教えてもらったままを受け取っていくこと、そして、いつしか深い理解が得られ、自分のものになっていくこと、これは何事にも通じるのではないかと思いました。
情景が浮かんでくるような描写に、まるで自分も著者と一緒に茶道のお稽古に通っているかのように感じました。落語家 柳家小三治 師匠の解説もぜひ読んでみてください。
[OPAC]

『その幸運は偶然ではないんです! : 夢の仕事をつかむ心の練習問題』

J.D.クランボルツ, A.S.レヴィン【著】 ダイヤモンド社
自分のこれからについて悩んだり、迷ったりしているみなさんにお薦めしたい本です。著者はキャリア理論提唱者のひとりですが、本書は就職活動以外の場面でも勇気をくれるのではないかと思います。
本書のユニークな点は、“しっかりと目標を決めて、計画を立て、それに向かってただひたすら努力しなさい“という内容ではないということです。なぜなら人生には「想定外の出来事」が常に起こるからだと著者は言います。(なにを隠そう、著者のクランボルツ先生自身が、さまざまな「想定外の出来事」に影響を受けて、今の仕事に就いたのです。そのエピソードも紹介されています。)
しかし、だからといって、目標に向かって努力することを否定しているわけではありませんし、「想定外の出来事」が起こるのをただ待っていればいいということでもありません。では、「想定外の出来事」をチャンスに変えるために、また、チャンスとなる「想定外の出来事」に出会うためにはどうすればいいのでしょうか・・・。少し頑なになってしまっているとき、目の前のことに対してひとつひとつ頑張っていこうと思わせてくれる一冊です。
[OPAC]