学生に薦める本 2014年版

佐々木 寛

2014年度は気分を変え、本をやめて映画にしましょう。例のごとく、未来の新しい<文明>を考えさせ、予感させる作品5作です。行き詰った世の中、先回りをして少し先の社会のあり方を考えてみましょう。

『第4の革命』

監督: カール・A・フェヒナー ユナイテッドピープル(発売)
農業革命・産業革命・IT革命に続く第4の革命は、「自然エネルギー革命」です。世界中で起こっている最先端のエネルギー革命の現実を追ったドキュメンタリー作品。エネルギーは<文明>の要(かなめ)です。エネルギーを変えれば社会が変わります。

『ガタカ』

監督: アンドリュー・ニコル ソニー・ピクチャーズエンタティメント(発売)
「スタップ細胞はあります!」とか、宇宙飛行士が英雄扱いだったりとか、社会はあまりにノーテンキです。テクノロジーは必ず人間の条件を変えます。遺伝子ですべてが決まってしまう社会はもうすぐそこです。最後のシーンで泣いてください。
[OPAC]

『よみがえりのレシピ』

監督: 渡辺智史 (視聴覚販売なし)
食・農からの革命。わずかに受け継がれてきた在来作物を、独自の料理法で“山形イタリアン”にまで育て上げた「アル・ケッチャーノ」のシェフを中心に、彼を取り巻く人や地域が「再生」してゆくプロセスを丁寧に追ったドキュメンタリーの傑作です。

『少女は自転車に乗って』

監督: ハイファ・アル=マンスール アルバトロス(発売)
え?サウジアラビアでは、女の子が自転車に乗ることはタブー視されている…。古い因習の中で自由に生きようとする少女のお話。とても爽やかな作品です。来るべき<文明>の主役は、女性だと思います。特に途上国の。いろいろと考えてください。
[OPAC]

『惑星ソラリス』

監督: アンドレイ・タルコフスキー アイ・ヴィー・シー (発売)
最後はやはり古典で。こういうのも観てください。人間の心の中が宇宙とつながっている…。科学技術の最先端で、やはり最後に立ち現われるのも、人間の心の問題です。愛とは何か。存在するとは何か。変わらない問いをずっと考え続けなければなりません。
[OPAC]