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学生に薦める本 2014年版
澤口 晋一
『マグマ(角川文庫)』
- 真山仁 【著】 角川書店
『地熱が日本を救う(角川oneテーマ21)』
- 真山仁 【著】 角川学芸出版
世界に冠たる地熱大国日本において何故か停滞してきた地熱発電.この矛盾に気づいた著者が小説という形を借りて地熱の可能性を世に問う渾身の長編『マグマ』.しかし,思ったほどの反応はなかったという.その後,2011年3月11日に福島第一原発にて破局的大事故が発生.もはや原子力に頼ることはできない.日本を救うのはもはや地熱をおいてほかにないと確信した著者が小説家としてではなく,地熱発電の使者として熱き使命感に燃えて著した『地熱が日本を救う』.地質学や資源学の専門家とは違った語り口から地熱発電の有用性について説得力にあふれた文章を展開する.かく言う,推薦者(澤口)も地熱エネルギーの信奉者である.熱き地球の熱きエネルギー.ご一読あれ.
『山はどうしてできるのか-ダイナミックな地球科学入門-(講談社ブルーバックス)』
- 藤岡喚太郎【著】 講談社
『海はどうしてできたのか-壮大なスケールの地球進化史-(講談社ブルーバックス)』
- 藤岡喚太郎【著】 講談社
なんとまあ,思い切ったタイトルをつけたことか.このタイトルをつけたくてもつけることを躊躇してきた人たち(研究者)はどれほどいたことか.そのことを考えるとこの著者の思い切りの良さというか,並々ならぬ情熱に敬意を表するしかない.地球物理学(あるいは地質学,地形学)の最終目的が,山はなぜできるのかを解明することだといって過言ではない.そのことに対する現時点での解答がこの本のなかに簡潔にまとめられている.そして海.山を制するものは海をも制する,と考えたわけではあるまいが,海と山はある意味で表裏一体の関係にある.山と海を同じ著者が著すことによって一貫性が生まれ,体系的な理解が図れるようになっているのはうれしい.ただ,現代の地球科学の成果をこの薄い新書に詰め込もうという訳なので,一般読者には理解が難しいと思われる文章も散見される.しかし,文字通り,空間的にも時間的にも極大スケールの課題に取り組む地球科学の魅力を伝えるという意味では価値ある2冊.文系の君だからこそ読んでみなされ.