学生に薦める本 2014年版

高井 英希(中央キャンパス企画室)

私が「学生に薦める本」をリストアップせよとの依頼をうけるにあたって 厚かましくも上から目線で思いついたことは「学生時代に読んだ本で今も心に残っている本」でした。

今回は、誰でも知っているだろうスタンダードで、古典で、ベタな、本を意識的に選びました。
いずれも私が高校生のときに読んでいた本です。
もし読んだことのない本が含まれていれば、読んでみてください。

本に限らず、映画、TVドラマ、絵画、音楽、ニュース、スポーツ、風景etc、何にでもいえることですが、目・耳・鼻・舌・皮膚、五感で感じることって、ひとつの同じモノを前にしても百人いれば百通りみんな違います。 超絶美味しい鰻だって、美味しいと思わない人がたくさんいるし、地方都市のサッカーの試合ひとつで人生が変わったり、選手がスタジアムに到着しただけて涙が止まらなくなったりするんです。私などが美術館で立ち止まりもせずに通り過ぎる絵画一枚でも、専門家は一冊の本や研究論文が書けちゃうのです。

同じモノを同時に体験しても、みんな感想が異なるように、貴方自身も時間経過とともに同じ刺激からピックアップする事柄が変わっていきます。
高校生と大学生、就職活動前と社会人になってから、恋愛前後、新しい家族との出会いと別れ。そんなときに同じ本を読み返してみると自分の変化が判るのです。

『こころ (岩波文庫)』

夏目漱石 【著】 岩波書店
朝日新聞の連載開始からちょうど100年だそうで、現在朝日新聞で特集・連載をしています。 私は現代仮名遣いの岩波文庫版で読みましたが、著作権フリーなので青空文庫でも読めるし、その気になれば、いつでも触れられる作品です。 「こころ」は高校の現代国語の教科書に掲載されていたので、学年全員が読みました。何年も同じ出版社の教科書を採用していたので、おそらく1年生から3年生まで全員が読んでいたんじゃないかな。 「同じ本を読んでもこんなに感想が違うものか」と思ったきっかけです。 高校生だった私は「大学生になるとこんな暮らしが始まるのかぁ」と思っていました。全くもって間違っていましたが...
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『檸檬 (レモン) (岩波文庫)』

梶井基次郎 【著】 岩波書店

『櫻の樹の下には (現代日本文學大系63) 』

梶井基次郎 【著】 筑摩書房
こちらも青空文庫で読めます。 大学生ならば、檸檬-->丸善 櫻-->屍体 は連想できないと、話のつじつまが合わずに恥ずかしい思いをします。 というか、連想できず恥ずかしかったと感じる人を増やしたい。
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『ヨーロッパ退屈日記 (新潮文庫) 』

伊丹十三 【著】 新潮社

『女たちよ!  (新潮文庫)』

伊丹十三 【著】 新潮社

『再び女たちよ!  (新潮文庫)』

伊丹十三 【著】 新潮社
先日、学生が伊丹十三を知りませんでした。 あまちゃんの「なつバッパ」を演じた宮本信子の旦那さんと説明しましたが、ピンときていない様子。伊丹映画もあまり観ていないようです。 50年前に書かれた本を30年前に読んで「にやにや」「ふむふむ」しましたが、今パラパラと読み返しても面白い。 私が粋やエスプリなんてものを初めて意識した教科書であります。 今回読んでみて、ウンチクや理屈をコネながら、背伸びしていた自分を思い返す恥ずかしさを味わいました。 インスタントコーヒーやティバックの紅茶しか飲まない人、損していますよ。
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