学生に薦める本 2014年版

佐藤 学(情報センター課)

『永遠の0(ゼロ) 講談社文庫』

百田 尚樹【著】 講談社
本書は、祖父にあたる宮部久蔵がどのような人物であったかを孫の姉弟が調査するところから始まります。宮部久蔵は、太平洋戦争で神風特攻隊として命を落としました。
何気ないきっかけで祖父の宮部久蔵について調査するにつれて、戦争の理不尽さを知り、ふたりは人生についていろいろなことを考えるようになります。
多くの方がご存知の通り、2006年刊行、2009年に講談社文庫として文庫化され、ベストセラーになった本ですが、2013年映画化され話題となりました。
本書は、賛否両論があり、特攻隊を美化しているという見方もあります。
本書を推薦する理由は、ふたつあります。
ひとつは、映画と本を両方見て欲しい点です。どちらが心に残ったかを考えて欲しいと思います。
映像はわかり易くイメージし易いと思いますが、実像そのものを受け入れがちです。活字ではどうでしょうか。
映像と比べて創造力が働き、多様な受け止め方ができます。映画はわかり易くイメージし易い反面、社会的な影響が考慮されるため表現に限界があり、更に興行的なものも関与して、時間や場所に制限が生じます。
ベストセラーになった本が映画化されることが多いので、ぜひ両面から多くのことを感じて欲しいです。
ふたつめは、最近ニュースで集団的自衛権や憲法改正について、政府の動向が報じられています。どちらも、今後戦争について日本の立場をどうするかが大きく関わってくると思われます。
日本の将来について、若い皆さんに考えて欲しいです。
もちろん、本書は戦争について考えるきっかけとし、本書の姉弟のように多くのことを調べ、有識者の言うことを鵜呑みにせず、自分の意見を持って欲しいと思います。
[OPAC]