学生に薦める本 2014年版

小片 章子(情報センター課)

『42 〜世界を変えた男〜』

監督: ブライアン・ヘルゲランド ワーナー・ホーム・ビデオ (発売)
映画『42 〜世界を変えた男〜』は、初のアフリカ系アメリカ人メジャーリーガーとなったジャッキー・ロビンソンを描いた作品です。
4月15日(日本では16日)のメジャーリーグで、田中将大選手、イチロー選手、川崎宗則選手はじめ多くのチームが全員同じ背番号「42」のユニフォームを着用してプレーしたことをニュースなどでご覧になりましたか。
背番号「42」は、ジャッキー・ロビンソンの背番号で、ロビンソンの業績を讃えて全球団共通の永久欠番になっています。また、MLB(米国プロ野球リーグ)は、ロビンソンのメジャーデビューの日1947年4月15日を記念して4月15日を「ジャッキー・ロビンソン・デー」に制定し、希望する選手はロビンソンに敬意を表してこの日だけ永久欠番の背番号「42」のユニフォームを着てプレーすることができることになりました。
この映画は、公共の交通機関や施設が白人と有色人種が使用できるものが区別されていた1947年のアメリカが舞台です。ファンからは反対され、チームメートからも差別され、プレーを妨害されても誠実に冷静にプレーし続けるロビンソンの真摯な姿は、徐々にファンや市民、チームメートの心を動かし、メジャーリーガーとして受け入れられていきました。ロビンソンが扉を開けてくれたおかげで日本人もメジャーリーグでの活躍の場を得られたのです。
最近、サッカーのスペインリーグに端を発した『バナナの輪』やNBA(アメリカプロバスケットボール協会)のチームのオーナーの差別的な発言による永久追放など、プロスポーツ界の差別問題がメディアを賑わしています。スポーツビジネスは有色人種の貢献なしには成り立たない事を誰もが認めていますが、潜在的な差別意識は根深く、ロビンソンの時代とさほど変わっていないのかも知れません。
現実にロビンソンが受けた差別は、映画よりももっと酷かっただろうと想像してしまいますが、ロビンソンを演じたチャドウィック・ボーズマンは品格のある演技でロビンソンの偉大さを表現していて、素直に爽快な気分で見る事ができました。
スポーツが好きな方、派遣留学等でアメリカに行こうと考えている方には、特にお薦めします。
図書館には、他にもアメリカの差別を描いた映画
『招かれざる客』
『夜の大捜査線』
『風と共に去りぬ』
『ミシシッピ・バーニング』
『グローリー』
『ジャンゴ・繋がれざる者』
などがありますので、授業の合間の時間を利用してご覧ください。
[OPAC]