学生に薦める本 2014年版

吉澤 文寿

『塩花の木』

金鎮淑【著】 耕文社
「漢江の奇跡」「V字回復」と高評価を受ける韓国経済を支えながら、資本による容赦ない整理解雇を受けてきた労働者。著者の半生は労働者の 尊厳を守るという正義にひたむきに進んだ記録で、読んでよかったと思います。
[OPAC]

『ヘイトスピーチとは何か(岩波新書)』

山師岡康子【著】 岩波書店
排外主義デモをやっている人たちはどんな人たちなのかという問いより、ヘイト・スピーチとは差別であり、差別によってマイノリティ被害者の自死を選ぶほどの苦しみをどう止めるかということが大切です。
[OPAC]

『領土問題をどう解決するか(平凡社新書)』

和田春樹【著】 平凡社
北方領土問題を中心に論じていますが、2島+1島返還論は説得的な議論です。「固有の領土」言説の呪縛から解放されてはじめて領土問題は前進すると思います。
[OPAC]

『増補新版 ヘイト・クライム 憎悪犯罪が日本を壊す』

前田朗【著】 三一書房
ヘイトスピーチ問題が顕在化している現在、この問題を法律問題としてどう考えるのか、その基礎を学ぶことができる本です。
[OPAC]

『詩の力 「東アジア」近代史のなかで(徐京植評論集2)』

徐京植【著】 高文研
「勝算の有無とか、有効性、効率性、というような原理とはまったく別の原理で語られている言葉」こそ、詩人の言葉という著者の言葉には、つねに叱咤され、勇気づけられる思いがします。
[OPAC]

『日本は過去とどう向き合ってきたか』

山田朗【著】 高文研
2001年の前著をリニューアルした内容ですが、歴史から何を、どうやって学ぶのかという点について、分かりやすく書かれた本です。とくに、特攻と天皇の戦争責任論が参考になりました。
[OPAC]