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学生に薦める本 2018年版
佐藤 若菜
『さらば、わが愛(覇王別姫)』
- 李碧華原(著) アスミック 1993年
日本統治時代から第二次世界大戦、毛沢東時代、そして現在に至るまでの激動の中国史を学びとることができます。文化大革命において、京劇をはじめとした伝統文化がどのように扱われたのかについても注目しながら観てみてください。そして、なにより香港スター、レスリー・チャンの美しさに心打たれる作品です。
『活きる』
- チャン・イーモウ(監督) 角川書店 1994年
1949年の共産党政権樹立、毛沢東時代の始まりによって、中国社会における価値観は大きく変化しました。どのように変化したのか、この映画をみればはっきりと感じとることができます。時代の波に翻弄されながら、中国の人々はいかにいきぬいてきたのか、何に幸せを感じてきたのか。この映画で示されている中国の人々の生活を支えてきたなにかは、現在も存在しつづけています。中国に暮らす人々の語りや行動をより深く理解するためのテキストとしてもおすすめです。
『鬼が来た!』
- チアン・ウェン(監督) ジェネオン エンタテインメント 2002年
戦争における中国人と日本人との日常を描いた作品です。暴力のなかに垣間見える日々のやりとりは微笑ましくさえ感じられるものの、一方で(だからこそ)、戦争の残酷さをより強く感じざるをえない作品です。
『ドラゴン 怒りの鉄拳』
- ロー・ウェイ(監督) ツイン パラマウントジャパン 1971年
ブルース・リーのかっこよさも魅力の一つですが、日本人であればぜひみてほしい作品です。この映画が公開された1970年代当時、華人を中心にアジア全域で大ヒットしたそうです。日清戦争での敗北が色濃く残る清朝末期を舞台に、ブルース・リーが日本人を成敗するというねじれのあるストーリーは、なぜこんなにも受け入れられたのか。作品を観ながら考えてみると、単なるカンフー映画とは思えない一側面を感じとることができます。
『花様年華 (かようねんか) 』
- ウォン・カーウァイ(監督) アスミック・エース 2000年
数えたことはありませんが、おそらく100着以上のチャイナドレスを観ることができます。そして、どのドレスもとても美しい!
『世界』
- ジャ・ジャンクー(監督) バンダイビジュアル 2004年
チェン・カイコーやチャン・イーモウの第五世代に対して、ジャ・ジャンクーは第六世代と呼ばれる監督です。本作は、北京に暮らす出稼ぎ労働者の日々の生活をリアルに描いています。
『罪の手ざわり』
- ジャ・ジャンクー(監督) バンダイビジュアル 2014年
現代の中国を、農村部や農民工(農村出身の出稼ぎ労働者)に焦点をあてて描いた作品です。ジャ監督自身は、実際に中国で起きた事件を参照したのは最後の一件だけと述べていますが、どの事件も中国農村部と農民工への深い理解に基づいて描かれています。ぜひ細部に注目して観てみてください。
『ウェディング・バンケット』
- アン・リー(監督) マグザム+オリオフィルムズ 1993年
アメリカで働く台湾出身の主人公、ウェイトンは、自身がゲイであることを両親に打ち明けられずにいます。そんななか、台湾の両親が彼に会いにアメリカを訪れることからストーリーが始まります。見どころはたくさんありますが、両親を安心させるための偽装結婚式の模様は、中国文化の一端を理解するという点で注目してほしいところです。