学生に薦める本 2018年版

藤本 直生

『トワイライト 初恋』

キャサリン・ハードウィック(監督) 角川書店 2008年
 このDVDは皆さんもご存知かと思いますが、バンパイアであるエドワードと人間の少女ベラとの間の恋の物語です。この映画がリリースされた時、私は新潟県立大学のセルフアクセスセンターで学習指導員として働いていましたが、学生たちから「アメリカでは、女子の間でトワイライトがすごく人気らしい。」とか、「エドワードのロマンチックな言動が女子を虜にしてるみたい。」という話を聞いて、ぜひとも観てみたいと思いました。映画はまさに噂どおりでした!DVDを観た人は、ぜひ英語版の本にも挑戦してみて下さい。分厚いティーンエイジャー向けの本ではありますが、内容が分かっていると結構スムーズに読めますよ。
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『女の子が生きていくときに、覚えていてほしいこと』

西原理恵子(著) KADOKAWA 2017年
 著者の西原理恵子さんは、マンガ『毎日かあさん』の作者でもあります。その西原さんがご自分の娘さんに向けて書いたのがこの本です。女の子がどうやって自分の人生を切り開いて行くのか、そのための現実的なヒントがこの本には詰まっています。
 西原さんは、「どんな時でも、次の一手は、自分で考えて、自分で選ぶ。王子様を待たないで。幸せは、自分で取りに行ってください。」(西原、2017年、P. 157)と言っていますが、まったくその通りだと思います。なぜかというと、私自身も自分で考えて自分で選び、王子様も自分で捕まえて、幸せな人生を手に入れたからです。皆さんも自分の幸せは自分で手に入れるよう努力して下さい。
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『Never let me go』

KazuoIsiguro(著) Faber and Faber 2005年
 著者のカズオ・イシグロさんは、昨年(2017年度)ノーベル文学賞を受賞した日系のイギリス人作家です。Never Let Me Go は、7,8年前に私が新潟県立大学のセルフアクセスセンターで学習指導員として働いていた頃、センターで借りて読みました。舞台はイギリスの寄宿学校ですが、この学校の生徒たちには親兄弟など家族はいませんでした。というのも、この子たちには他人に臓器を提供するという使命があったからです。彼らの運命はいかに・・・。続きは、本を読んで確かめてみて下さいね。この小説をもとに作られた映画もありますから、DVDも併せて観ることをお勧めします。
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『わたしを離さないで』

マーク・ロマネク(監督) 20世紀フォックスホームエンターテイメントジャパン 2011年
 著者のカズオ・イシグロさんは、昨年(2017年度)ノーベル文学賞を受賞した日系のイギリス人作家です。Never Let Me Go は、彼の小説をもとに作られた映画です。舞台はイギリスの寄宿学校ですが、この学校の生徒たちには親兄弟など家族はいませんでした。というのも、この子たちには他人に臓器を提供するという使命があったからです。彼らの運命はいかに・・・。続きは、DVDを観て下さいね。小説の原作もありますから、ぜひこちらも併せて読んでみて下さい。
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『The remains of the day』

KazuoIshiguro(著) Pearson Education 2000年
 著者のカズオ・イシグロさんは、昨年(2017年度)ノーベル文学賞を受賞した日系のイギリス人作家です。イシグロさんは10本以上の小説を書いていますが、Graded Readers になっているのは今のところこれだけです。オリジナルの小説を英語で読むのはまだむずかしいと思う人は、ぜひこのペンギン版のThe Remains of the Day(日の名残)に挑戦して見て下さい。イギリスで最高の文学賞であるブッカー賞受賞作です。
 ダーリントン卿の邸宅で、Butter(執事)として働くスティーブンスの人生と、1930年代から1950年代の世界大戦を経たイギリスの社会情勢を垣間見ることができます。世界中に植民地があって「日の沈まない国」と呼ばれた大英帝国は、2つの世界大戦の戦勝国となったものの疲弊して国力を完全に失いました。その後、世界のリーダーとして君臨するようになったのがアメリカですが、スティーブンスの主人もイギリス人(ダーリントン卿)からアメリカ人(ハラディー卿)に変わりました。本校の図書館にDVD もありますが、なんとハラディー卿はスーパーマンの俳優である、クリストファー・リーヴが演じています!DVDも併せて観ることをお薦めします。
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『フジモト先生のビューティフル★アメリカ -Some Stories in Missouri』

藤本直生(著) 銀河書房 1995年
 この本は今から約20年以上前、私が長野県の中学校に勤めていた時に教え子のために書いた本です。本校の派遣留学先である University of Central Missouri は、アメリカの中西部ミズーリ州にありますが、そこは長野県と姉妹州でもあります。そのような関係で、私は1992年の夏に派遣団の一員として3週間ほど、ミズーリ州でホームステイする機会に恵まれました。本書は、私にとって初めて海外で体験した楽しいことや大変だったことを赤裸々に書きました。これからアメリカへの派遣留学を考えている人にお薦めの1冊です。
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『James and the giant peach』

RoaldDahl(著) Puffin 2016年
 作者の Roald Dahl はノルウェー人の両親を持ち、イギリスで生まれ育ちました。数多くの児童文学書を書いていますが、その中でも最も有名なのが皆さんもご存知の『チャーリーとチョコレート工場』です。彼の文学は風刺の効いたブラックユーモアが特徴的ですが、今回紹介する James and the Giant Peach も Roald Dahl 独特のユーモア満載です。
 ジェームズの両親は、ロンドンへショッピングに出掛けたところ、動物園から逃げ出したサイに食べられて死んでしまいます。かわいそうなジェームズは意地悪なおばさん2人に引き取られて、みじめな生活を送ってました。しかし、ある日見知らぬおじいさんから緑色の小さな粒の入った袋を受け取ります。それを持って家に帰る途中、桃の木の下でつまづいて転んでしまったら、何と巨大な桃が生りました。桃の中にはジェームズと等身大のバッタやテントウムシなどがいて、彼はその虫たちと旅に出ることとなりました。ジェームズたちの旅の様子は本を読んでのお楽しみ。
他にも、本校の図書館に Roald Dahl の著書が何冊かありますので、こちらも合わせて読んでみて下さい。
“Charlie and the Chocolate Factory” “Matilda” “The Twins” “The Witches”
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『教育劣位社会』

矢野眞和・濱中淳子・小川和孝(著) 岩波書店 2016年
 皆さんは、大学の授業料をどのように支払っていますか?奨学金を借りていますか?それともご両親が払ってくれていますか?私はこの本を読み、海外には大学教育が無償の国があると知って驚きました。例えば、北欧のスウェーデンやデンマークでは、その国の子弟であれば無料で教育が受けられます。
しかし、本書では日本人が教育熱心であるにもかかわらず、税金で大学の授業料を無料にしようという考え方がない点に、疑問を投げかけています。本書によると、「日本の280万人の大学生が支払っている授業料の総額は、消費税1%(2.5兆円)に匹敵する」(矢野、2016年、p. 15)とのことです。要するに、消費税1%は大学の授業料を無償にするための財源にできるのです。
 さらに、本書では教育政策については、エビデントベースト(evident-based)という「経験や思い込みからではない、データに基づいた検討を加えるべき」(濱中、2016年、p. 197)であると述べています。例えば、最近子どもと老人の貧困が大きな社会問題になりつつありますが、これは成人の問題であり、働く現役世代の雇用がしっかりしていなければならないのです。要するに、子どもの貧困は親の貧困が原因であり、老人の貧困は現役時代の不平等が原因となっています。加えて、「勤労世代の不平等は教育の不平等の結果である」(矢野、2016年、p. 189)といいます。その不平等を是正するのに必要なことは、大学教育の機会均等を実現することです。
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『I am Malala』

MalalaYousafzai(著) Back Bay Books 2015年
 著者のマララ・ユスフザイさんは、2012年にパキスタンで女子教育を禁止するイスラム原理主義勢力タリバンを批判したという理由で、学校へ行く途中にスクールバスの中で頭を銃で撃たれました。現在、マララさんはイギリスのバーミンガムで家族と暮らしながら学校に通っています。私は、この本を数年前にイギリスの書店で見つけて購入し、読みました。300ページ以上もある厚い本ですが、家族や学校の写真などがあって、読みやすかったと思います。この本をもとに作られたDVDもありますから、こちらも併せて観ることをお勧めします。
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『わたしはマララ 特別編』

デイヴィス・グッゲンハイム(監督) 20世紀フォックスホームエンターテイメントジャパン 2016年
 マララ・ユスフザイさんは、2012年にパキスタンで女子教育を禁止するイスラム原理主義勢力タリバンを批判したという理由で、学校へ行く途中にスクールバスの中で頭を銃で撃たれました。マララさんは国連で、教育の重要性を次のようにスピーチしました。”One child, one teacher, one pen and one book can change the world.” この映画は2013年に出版された著書『I am Malala』をもとに製作されましたので、こちらも併せて読んでみて下さい。
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