学生に薦める本 2015年版

佐々木 辰弥(事務局長)

『裸でも生きる:25歳女性起業家の号泣戦記』

山口絵理子著 講談社 2007.9
著者は、小学校でいじめに遭い、中学で不良になり、高校で柔道に打ち込み、大学では、アメリカの国際機関のインターンからバングラデシュの大学院に進学する。
アジア最貧国のひとつであるバングラデシュで、ただ生きるために生きている人々の生活を見て、施しではない先進国と対等な経済活動を行うという理念で、様々な困難を乗り越え、MOTHER HOUSEというバッグの会社を現地に設立し、現在も順調に業績を上げている。
たとえ裸になってでも自分の信じた道を歩く、という著者の志は読み手に元気を与え、国際貢献のあり方も考えさせられる。社会や人のためではなく、自分のためにやりたいことをやり、結果として誰かの役に立つことになれば幸運であるという著者の考えに共感し、拍手を送りたい。
[OPAC]

『たったひとつの「真実」なんてない―メディアは何を伝えているのか?』

森 達也著 筑摩書房 2014.11(ちくまプリマー新書)
事実は限りない多面体である。だからどの方向から見るかによって、真実はひとつだけではない。それがわかっていれば、メディアの情報を正しく読み解くことができる。
著者はあとがきで、「メディアはツール。とても副作用が大きいけれど、結局はツール。使うのは僕であり、あなたである。
ならば、上手に使おう。多くの人が少しでも幸せになるように。多くの人が平和で安らかな時間を過ごせるように。僕とあなたが、この世界に生まれてよかったと思えるように。」と述べている。
皆さんが本学での学生生活を経て、このツールを上手に使いこなせるようになることを願っている。
[OPAC]