学生に薦める本 2015年版

高井 英希(新潟中央キャンパス)

『アルビレックス散歩道 2009-2010』
『アルビレックス散歩道 2011』
『アルビレックス散歩道 2012』
『アルビレックス散歩道 2013』

えのきどいちろう著

(「アルビレックス散歩道 2012」は版元品切れのため所蔵していません。)

えのきどいちろうをご存知か?

みなさんは、「えのきどいちろう」という文字列を目にしたことがありますか?
それはどこで目にしましたか?
現在、新潟日報やシネウインドの会員誌でも連載し、新潟での認知度はあがっていると思います。
彼は、コラムニストとして様々な分野で執筆しています、新潟日報以外で彼の文章に触れ、「字ヅラ」として記憶しているのなら、
そこは、ちょっとディープでマニアックな世界に違いない。と断言してしまおう。

彼が、なんとなく、雰囲気で、もやもやして、曖昧な、本人にはなかなか言葉にできない気持ちや現象を切り取ったとき、私の考えにとても近く、「そうそう!」「だよねぇ」とひざを打ちます。
新潟人でない彼が、新潟を語る視線が面白い。
アルビレックス新潟サポーターには「関東サポ」という人たちがいます。進学や就職で関東へ引越した人たち。新潟を離れて20年、30年経つオッチャンが東京の味の素スタジアムで「アイシテルニイガタ」と歌う。
彼は、そうやって、自分の中にある"永遠の新潟性"を噛みしめる姿から、アイルランド人を思い出すそうです。ワールドカップのような国際試合になると自らのアイデンティティを確認する。
これは、生まれてからずっと新潟にいると判らない視点かもしれません。
本書はアルビレックス新潟公式ホームページでの連載をまとめたもの。
スタジアム売店、アルビレックス新潟オフィシャルインターネットショップでのみ購入可能です。
メジャーな流通経路に乗らない中に、素敵なものがあること。
ニッチな分野を掘り下げてみてはいかがでしょう。
[OPAC]

『鴨川ホルモー』

万城目学著 角川書店 2009.2(角川文庫)

『ホルモー六景』

万城目学著 角川書店 2010.11(角川文庫)
青春って恥ずかしい。

万城目学(まきめまなぶ)という作家は、出す本、出す本が直木賞にノミネートされるも何故か受賞できない人なのです。
彼の作品はどれも大好きなのですが、まずはデビュー作「鴨川ホルモー」とその続編「ホルモー六景」をおススメします。
万城目学は1976年生まれ。若い感覚とアカデミックな雰囲気がうまく交わった作家だと思います。
ほとんどの作品が映画かTVドラマ、漫画化されています。でも、私のお勧めは、まず本を読む!
本で文字から映像を想像してみてください。文字や人から聞いた言葉からイメージすることが大事だと思っています。
だから、映画やマンガを目にする前に本を読んでほしいのです。
鴨川ホルモー」と「ホルモー六景」は絶対に文字から入って欲しい作品です。
万城目ワールド」と呼ばれる彼の作風は、日常の描写とそこから逸脱するキテレツな世界へのバランスに優れたファンタジー小説といえるでしょう。
それ故、先入観なく物語に入っていくために映像より前に文字をおススメします。
「鴨川ホルモー」の舞台は京都の大学。青春真っ只中です。読んでいると自分の学生時代のアホさ加減が思い出され、読んでるのが恥ずかしくなりました。
私は「ホルモー六景」が好きで、ぜひ読んでほしいので、まずは「鴨川ホルモー」を読み切ってください。
彼の作品には、実際の歴史・作家など様々なエピソードの引用やパロディがあります。
これらに反応してニヤリとするために一般教養も必要なのです。
[OPAC]
[OPAC]