学生に薦める本 2020年版

藤田 美幸

『世界標準の経営理論』

入山章栄 ダイヤモンド社 2019年
経営学の理論を体系的・網羅的に1章ずつわかりやすくまとめられた書籍です。関心のある理論から辞書のように読むことができます。興味のあるもの、わからなかったものなど、自分が「今、その時」に関心のある事から読みすすめることが出来ます。
この本は『ハーバード・ビジネス・レビュー』に連載されていたものを1冊にまとめたものです。それがゆえ、ページ数は800ページと多いのですが章ごとに読めます。
ビジネスパーソンにも自分の考えを補完することが出来るのでいつも手元に置いておきたいお薦めの書籍です。非常に推薦したい本なのですが唯一の難点は重量があることです。私はKindle版(e-book)を所有しており重量を軽減しています。
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『1からのデジタル・マーケティング』

西川英彦、澁谷覚 碩学舎 2019年
マーケティングを学ぶための書籍は世の中に溢れています。多くはテクニックやノウハウ本が多いのが現状です。しかし、この本は理論から理解できるのが特徴です。
近年、ICTは私たちの生活に身近な存在でありマーケティングにも活かされています。デジタル・マーケティングはこのような時代に適合しています。しかし従来の伝統的マーケティングは不要でしょうか。それは違います。この本からは両方を体系的に関連づけ、本質の普遍性について理解できます。
また、メルカリや食べログ、無印良品など身近な企業の事例も豊富に取り上げられており読みやすく理解しやすいものとなっています。
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『コトラーのマーケティング4.0 スマートフォン時代の究極法則』

フィリップ・コトラー、ヘルマワン・カルタジャヤ、イワン・セティアワン 朝日新聞出版 2017年
デジタル社会の昨今、多くの人がスマートフォン片手にモノを購買しています。
私たちは片手に収まるスマートフォンの中でモノやサービスについて調べ、判断し、買ったり、また買うのを止めたりしています。これは企業のメッセージよりSNSなどのメッセージでモノを買う、買わないを判断するようになったのです。つまりスマートフォンが無かった時代と比較し、消費者の購買行動が変化したということです。
それでは伝統的なマーケティングは変わったのでしょうか。本質は変わりません。しかし、社会の変化に合わせアプローチが変わってきています。
この書籍は、デジタル社会での消費者行動の変化についてわかりやすく解説しています。
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『もしアドラーが上司だったら』

小倉広 プレジデント社 2017年
仕事をしていたり、学習していたり、生きていると辛いことや苦しいことが多々あります。そのような時はアドラー心理学と呼ばれる心理学者のアドラーの理論を思い出し、自分を客観視することが多々あります。
この本は、小説形式でアドラー理論の理解を進めることができます。広告代理店の営業のリョウ君が身長150cmの○○えもんに似ているドラ課長からアドラー心理学を学ぶことで成長し課長になる物語です。
たとえば、親や先生に薦められたからと理由で進路を決定したのは嘘であり、本当は自分が決定したこと。不完全な自分をそのまま受け入れる勇気をもつこと。より大きな共同体の利益を優先しマクロ的な視点をもつこと。など、もう駄目だと自己嫌悪に陥る時にページをめくると気持ちが楽になれます。
既に本図書館に所蔵されている『嫌われる勇気』や『幸せになる勇気』と合わせて読むと昨今の生き辛い複雑な社会において前に進む勇気がもらえます。
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『ゼロからつくるビジネスモデル』

井上達彦 東洋経済新報社 2019年
新規にビジネスを考える、改善する、プロジェクトを考える機会は、誰もがあります。特にコロナ禍の現在では多いことでしょう。そのような時にはこの本を手に取ることを推薦します。
最先端のビジネスの事例をあげながらアカデミックな理論が解説されています。アイデアをどのように創出したらよいのか、創出後にはビジネスモデルをどのように構築したらよいのか、そしてビジネスをどのようにコントロールしてはよいのかが写真や図を使いながら書かれています。
ところで、優れたビジネスプランを描くには、創造性のアートと市場の法則であるサイエンスの両側面が必要となります。本書では、創造性を養うのもトレーニングすることで可能であり、トレーニング方法についても述べられています。「創造性がない」、「頭が固い」と思って課題を目の前にして諦めている人は手に取ってみることをお勧めします。約500ページですが、図や写真が多いので容易に読めます。
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