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学生に薦める本 2021年版
佐々木 寛
< 新しい生きかたを模索する >
去年のテーマは、「22世紀を見るかもしれない君たちへ」でしたが、今年のテーマは、近年ずっと考えているもっと切実なテーマです。社会が“クソ”になっていく時代に、私たちはどう生きるか。実践的アナキズムの可能性。
『ブルシット・ジョブ――クソどうでもいい仕事の論理』
- D.グレーバー 岩波書店 2020年
働くとはどういうことか。仕事をする価値は何か。今、世界中で根源的な問いが浮かび上がっています。安直に“就活”する前に、自分の頭で考えてみませんか?
『ウォールデン 森の生活』(上・下)
- H.D.ソロー 小学館文庫 2016年
若い時にじっくり読みたい古典のひとつです。「生きるとは私だけの実験です」というソローも、「生まれたとたんに墓を掘り始める」ような現代の労働を嗤っています。
『実践 日々のアナキズム』
- ジェームズ・C.スコット 岩波書店 2017年
この世界を構成し、正気に保っているのは、実は、制度やシステムではありません。みなさんの人生も、日々創造的に営まれています。人類学の叡智を楽しんでください。
『ヒトラーに抵抗した人々――反ナチ市民の勇気とは何か』
- 對馬達雄 中公新書 2015年
大衆がこぞって“愚か”になっていった時代、“正気”であるためには、闘うしかありませんでした。この良心の少数者、無名の抵抗者こそ、歴史をつくってきた人々なのです。