学生に薦める本 2021年版

アレクサンドル・プラーソル

『巨匠とマルガリータ』(上・下、ローマ字翻字:Master i Margarita)

ミハイル・ブルガーコフ著(Bulgakov, M. A. (1891-1940))、法木綾子訳 群像社 2000年
 名が高いロシア作家ブルガーコフ著の傑作「巨匠とマルガリータ」は私の最も好きな作品である。この小説を始めて読んだのは、学生時代の時だ。それ以来5-6回読み返したことがある。ロシアの各地には「巨匠とマルガリータ」のファン・クラブが設置されている。作品のマジックな魅力にひかれた読者たちは定期的に集会を開いて登場人物などの話しをしている。2000年にブルガーコフの「巨匠とマルガリータ」はポーランドで20世紀において世界最高の文学作品として認められた。 2005年、それを原作にロシアで映画が撮影された。話題となったこの映画の視聴レーティングは全国で29%、首都のモスクワでセンセーショナル58%に及んだ。
 この小説の内容は?
 ある日の夕方、モスクワの並木道にやや変な、外国人らしい男が姿を現す。色の違う目をしているし、時としてアクセントの強い、めちゃくちゃのロシア語、時として完璧なロシア語をしゃべる人。話の内容も変だ。1804年になくなったドイツ哲学者カントとの会見を回想する。話し相手の文学雑誌編集者が近いうちに珍しい処刑を受けることまで予言する。「あなたは、若い女性によって首をチョン斬られます!このことについて、キエフの叔父に至急に電報でも打ってあげなしょうか」と。数分後、引き上げた編集部長がなんとなく足を滑らせて路面電車にはねられ、首をチョン切られて死んでしまう。この恐ろしい事故はは路面電車を運転した若い女性にショックを与える。予言が見事に実現したことを目撃した詩人が変な外人を捕まえるように必至に努力するが、失敗して頭がおかしくなり、精神病院へ運ばれるだけである。
 20世紀前半に悪魔が仲間といっしょにモスクワを訪れる。市民たちの日常生活にはおかしい、時として恐ろしい出来事が始まる...
[OPAC]

『日本人と日本文化』

司馬遼太郎、ドナルド・キーン 中央公論新社 2004年(45版)
 雄大な構想で歴史と人物を描き続けてきた司馬氏と、日本文学・文化のすぐれた研究者として知られるキーン氏が、平城宮址、銀閣寺、洪庵塾でともに時を過ごし、歴史の香りを味わいつつ語りすすめられた対談。「ますらおぶり」と「たおやめぶり」忠義を裏切り、上方と江戸の違い、日本に来た西洋人等々をめぐって楽しく話題が展開するなかで、日本人のモラルや美意識が、また日本人独特の大陸文化・西欧文化の受け入れ方が掘り下げられる。(出版社より)
[OPAC]