学生に薦める本 2021年版

丑田 直希(情報センター課)

『世界は贈与でできている』

近内悠太 NewsPicksパブリッシング 2020年

『ペイ・フォワード』(DVD)

ミミ・レダー監督 ワーナー・ホーム・ビデオ 2001年

『テルマエ・ロマエ』(Ⅰ~Ⅵ)

ヤマザキマリ エンターブレイン 2009~2013年

『それをお金で買いますか : 市場主義の限界』

マイケル・サンデル(著), 鬼澤 忍 (翻訳) 早川書房 2012年
作者は若手の哲学者。
コロナ禍の不安やストレスのせいもあり、人の心が狭くなっている今だからこそ、「世界がこんなだったら」とちょっと思ってしまった。
本書の中で紹介されている作品も併せて読んでみてほしい。

・ペイ・フォワード
原題である「Pay it forward」は、自分が恩を受けたら、それを別の人に送ること。つまり「恩返し」ではなく「恩送り」のこと。学校の授業で先生から「もし君たちが世界を変えたいと思ったら何をする?」と問いかけられた11歳のトレバー少年は“3人に良いことをし、その人たちにも同じようにしてもらう”というアイデアを思いつき、実践する。果たして世界は変わるのか。自分の目で確かめてみよう。

・テルマエ・ロマエ
古代ローマの浴場技師ルシウスが現代にタイムスリップし、我々にとってごく当たり前のお風呂事情に驚く。当然その技術は古代ローマには存在していないからである。
現代にあるものは、歴史の途中で誰かが生み出し、それが伝えられたもの。もしルシウスが現代にタイムスリップしていていなかったら、現代のお風呂事情は変わっていたのだろうか。

・それをお金で買いますか:市場主義の限界
1990年代スイスでは、放射性核廃棄物の貯蔵場所を探していた。その候補地として指定された小さな山村では、建設可否を決める住民投票の前に数名の経済学者が事前調査を行なった。結果は51%が受け入れると答えた。
続いて経済学者たちは「連邦議会が村人1人ひとりに毎年保証金を支払う」という条件を加えて調査を行なった。すると、賛成は25%に減ってしまったという。
「見返り」が提示された途端に意思を変えてしまったことになる。果たしていったい何が起こっていたのか。
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『YAWARA!完全版』(VOLUME1~20)

浦沢直樹 小学館 2013~2015年
今状況下でオリンピックが開催されるのかはわかりませんが、競技の応援の意味を込めて。

類い稀な柔道の才能を持つ主人公・猪熊柔。周囲の期待とは逆に普通の女の子になりたいと望んでいる。そんな彼女が試合にでれば体格差をモノともせず、大きな相手を背負い投げで投げまくる姿はとても爽快です。力に頼るだけではない「柔よく剛を制す」の代名詞。

谷亮子氏の柔道家時代の愛称である「ヤワラちゃん」が、この作品が由来。今となっては知らない人も多いのかもしれない。
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『とてつもない失敗の世界史』

トム・フィリップス (著), 禰冝田亜希 (翻訳) 河出書房新社 2019年
人類の遠い祖先の猿人「ルーシー」は約320万年前に木から落ちて全身を骨折して息絶えた。これは2016年に米テキサス大学の研究チームが発表した説である。まさに「猿も木から落ちる」。

・1945年4月14日、ドイツ海軍のハイテク潜水艦U1206(Uボート)は、トイレの使い方が難しすぎて沈没した。
・穀物の種や果実を食べる雀を害として駆除したら、生態系のバランスが崩れ、天敵のいなくなった虫が農作物を荒らし、逆に穀物の収穫量が大幅に減少した。

など、時には国を滅ぼし、時には生態系を破壊するような人類の失敗の歴史を、ブラックジョークを交えて紹介している。詳細は読んで確認してほしい。
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『Kaguya-sama: Love Is War』(Vol.1-17)

Aka Akasaka VIZ Media LLC 2015年~

『かぐや様は告らせたい〜天才たちの恋愛頭脳戦〜』(第1巻~第21巻)

赤坂アカ 集英社 2013年~
2019年には実写映画化され、続編の公開も決定した本作は、新潟県佐渡市出身の赤坂アカ氏の作品。

天才たちが繰り広げるレベルの低い恋愛頭脳戦を楽しもう。

本作の英訳版も用意してある。翻訳されると、文化の違いや語数の関係で文章の内容が変えられている場合あり、どのように違うのか読み比べてみよう。

とにかく楽しむことを意識して読んでみてほしい。
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『戦国日本と大航海時代 : 秀吉・家康・政宗の外交戦略』

平川新 中央公論新社 2018年
スペイン、ポルトガルが世界を二分して支配するための海外進出が行なわれた大航海時代、小さな島国である日本は、2020年の大河ドラマ「麒麟がくる」の舞台にもなった戦国時代であった。

なぜ日本は強国の植民地にならなかったのか、なぜ秀吉は朝鮮に出兵したのか、家康、正宗の外交戦略は何だったのか、物語やゲームでは語られることのない戦国武将たちの国際的視野を、現代と比較して考えてみるのも面白いのではないだろうか。
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『首都消失』(上・下)(1983年連載開始)

小松左京 角川春樹事務所 1998年

『復活の日』(1964年発表)

小松左京 早川書房 2018年
【入手困難】

『首都消失』(DVD)(1987年公開)

渡瀬恒彦 (出演), 名取裕子 (出演), 舛田利雄 (監督, 脚本) ポニーキャニオン 2005年

『復活の日』(DVD)(1980年公開)

草刈正雄 (出演), オリビア・ハッセー (出演), 深作欣二 (監督) KADOKAWA 2006年
復活の日は1964年に発表、首都消失は1983年から連載された古い作品である。

小さい頃に地上波で首都消失の映画を観て衝撃的だった記憶がある。

もしも世界中に空気感染するウイルスが蔓延したら?
もしも何らかの原因で首都が機能しなくなったら?

核、大地震、ウイルス・・・。

こんな状況下の今だからこそ読んでもらいたい。
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