学生に薦める本 2016年版

小宮山 智志

『君の膵臓をたべたい』

住野よる 双葉社 2015.6
 “自己完結系男子”が【仲良し】に出会い変わっていくことを志す話です。私も【仲良し】から(たぶん私だけに)不治の病だと告白されて、わずかひと夏だけど一緒に過ごしたことがあります。そのときいま皆さんと一緒に考えている“自分の頭と他人の頭を使う社会学”を志しました。

 ちょっとだけ引用します。

 誰かを認める、誰かを好きになる、誰かを嫌いになる、誰かと一緒にいて楽しい、誰かと一緒にいたら鬱陶しい、誰かと手を繋ぐ、誰かとハグをする、誰かとすれ違う。それが生きる。自分たった一人じゃ、自分がいるって分からない。...中略...私の心があるのは、皆がいるから、

 ね、コミヤマの社会学っぽいでしょ。けどこれはまだ核心部分の“半分”です。

 そうそう、主人公の名前が【    】で示されます。(主人公視点の)周囲の人との関係によって【仲良し】【秘密を知っているクラスメート】【地味なクラスメート】などなど変化します。ね、2016年度の社会学第3回目の「なぜ私たちは傷つきやすいのか」でしょ。第4回目ではこの本を取り上げる予定です(講義で私の体験もお話しするかも)。

 この本を読んで泣けたのなら、焼肉「いっとう」で一緒にこの本の話しませんか? もちろんホルモン食べながら。

 君の膵臓がたべたい...
[OPAC]