学生に薦める本 2017年版

伊村 知子

『自閉症スペクトラムとは何か—ひとの「関わり」の謎に挑む』

千住淳 ちくま新書 2014
 自閉症に関する最新の知見はもちろん、自閉症をふくめた発達障害を「心のはたらき方の個性」ととらえる著者の眼差しに深く共感します。自閉症だとどのような場面に困難を感じやすいのか、「その他大勢」の人たちは、他者や社会とどのように関わっているのかを知ることにより、自閉症とは何かを理解することができます。
[OPAC]

『イカの心を探る 知の世界に生きる海の霊長類』

池田譲 NHK出版 2016
 イカは美味しい。そんなイカの心を知ってしまったら、食べられなくなるのでは?と心配でしたが、面白くて最後まで読んでしまいました。イカが、実はとても社会性の高い動物であることに驚かされました。生まれてからずっと一人で育ったイカが、初めて鏡に映った自分の姿を見たら・・・?
[OPAC]

『大人の直観vs子どもの論理』

辻本悟史 岩波書店 2015
 大人は論理的で、子どもは直観的。成長するにつれ、論理的になっていく。そんな先入観は、この本を読むと覆されるかもしれません。赤ちゃんが、確率に基づいた論理的な予測をすること、逆に、大人の意思決定の多くが直観に左右されることに気づかされます。
[OPAC]

『チンパンジーは365日ベッドを作る 眠りの人類進化論』

座馬耕一郎 ポプラ新書 2016
 チンパンジーのベッドに寝てみたら快適だった。そんな座馬氏の言葉を聞いて、いつかは寝てみたいと思っていたベッド。その構造や作り方から、ベッドをめぐるチンパンジーの駆け引きまで、ベッドにまつわる秘密が詰まった面白い本です。 2016年、これをヒントにその寝心地を再現した「人類進化ベッド」が寝具メーカーのイワタ製作所により発表されました。
[OPAC]