学生に薦める本 2017年版

片山 大輝(情報センター課)

『太陽の塔』

森見 登美彦著 新潮社 2006.6
 森見登美彦のデビュー作、太陽の塔をご紹介します。

 この作家は、「夜は短し歩けよ乙女」「四畳半神話体系」などで有名ですが、登場人物が大学生である作品を多く書いており、この作者の描く大学生活はいつも魅力的で、面白おかしく、こんな大学生活を送れたらなあ、と思うこと必至です。
 本書も例に漏れず、本のキャッチコピー「失恋を経験したすべての男たちとこれから失恋する予定の人に捧ぐ」にあるとおり、女性に振られたばかりの男子大学生がその個性的な友人たちとともにバカげたことを起こしていくのがとてもおかしく、おもしろくて何度も吹き出してしまいました。

 本作品は第15回日本ファンタジーノベル大賞を受賞した作品ですが、完全なファンタジーではなく、日常の中にちょっとしたファンタジーがあるような作風です。文章は少し硬く、妄想も入り混じった文章なので読みづらく感じる人もいるかもしれませんが、作者独特のユーモラスな文体で、その表現に慣れる頃にはその一文一文に笑わずにはいられなくなっているはずです。

 この本は腹を抱えて笑いたい方、あるいはあまり現実が充実していない男子大学生にお勧めです。
[OPAC]