学生に薦める本 2017年版

神長 英輔

『やり抜く力』

アンジェラ・ダックワース著、神崎朗子訳 ダイヤモンド社 2016.9
 粘り強くやり抜く力こそ才能の正体だそうです。今までおつきあいした、本学のすばらしい学生さんを思い出すと、この結論には大いにうなずけます。
[OPAC]

『友がみな我よりえらく見える日は』

上原隆 幻冬舎 1999.12
 凡人がありふれた人生を送る。判で押したような、単純で平凡で代わり映えのしない毎日、そこに幸せのきっかけがあります。
[OPAC]

『イワシと気候変動 漁業の未来を考える』

川崎健 岩波書店 2009.6
 なぜ豊漁と不漁が起こるのか。著者が提唱するレジーム・シフト理論は、これまでの水産資源学の常識をくつがえし、多くの疑問を解き明かします。学問の可能性に心が奮い立ちます。
[OPAC]

『医者、用水路を拓く』(新版)

中村哲 石風社 2007.11
 平和のために、ひとりの医師はアフガニスタンで用水路を建設することになりました。世のため、人のため、世界の平和のため、著者ほどのことはできなくても、私たちにできることは多々あります。
[OPAC]

『父を想う』

閻連科著、飯塚容訳 河出書房新社 2016.5
 これが創作でなく、事実だということに深く感じ入りました。また、現代中国についての無知も痛感しました。私自身も市井の一人一人の暮らしを見つめる歴史を書こうと改めて決意しました。
[OPAC]

『セカンドハンドの時代』

スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ著、松本妙子訳 岩波書店 2016.9
 ソ連とは何だったか。ソ連解体とは何だったか。著者は、平凡な市民一人一人の心に寄り添いながら、その問いに答えました。
[OPAC]

『橋を架ける者たち 在日サッカー選手の群像』

木村元彦 集英社 2016.9
 差別は、差別される人の人生を具体的に破壊する暴力です。世のなかから差別をなくすために努力することは、大学で学ぶことのできた人の義務であり、サッカーを愛する人の義務です。
[OPAC]

『脳が壊れた』

鈴木大介 新潮社 2016.6
 著者は41歳で脳梗塞になりました。脳梗塞が「性格」習慣病であるという事実、病んだことで気づいた幸せの本質、どちらにも目を見開かされました。
[OPAC]

『北前船の近代史』

中西聡 成山堂書店 2013.4
 富山県と石川県は、住民の生活満足度が高い地域として知られています。著者は、明治期以降、北前船の資本が工業だけに振り向けられなかったことが、現代のこの地域の豊かなくらしの礎になっているといいます。
[OPAC]

『無名の人生』

渡辺京二 文藝春秋 2014
 庶民とは何か、大衆とは何か。その問いを続けてきた著者が若者向けに書いた新書です。人生に迷うときは、「まず検索」ではなく、「まず図書館」が早道です。
[OPAC]