学生に薦める本 2017年版

小片 章子(情報センター課)

『国境お構いなし』

上野千鶴子(著) 朝日新聞社 2007.7

『君はどこにでも行ける』

堀江貴文(著) 徳間書店 2016.3

『がさつ力』

千原せいじ(著) 小学館 2016.8
 この3冊のお薦めのポイントは、著者が旅人であることである。旅のスタイルはそれぞれ異なるが、訪れる街の文化に敬意を払い、「文化の一部を享受させていただいている」という謙虚な気持ちで旅をしていることが共通している。3作の中で、特に共感したフレーズは、
「情けはひとのためならず」(上野千鶴子氏)
「君たちの国境は、頭のなかにある。」(堀江貴史氏)
「気遣いは、文化への敬意だけで充分」(千原せいじ氏)
私も旅が好きで、絵画、教会、建物、廃墟、絶景を見て回っている。目的がピンポイントで、テレビで放映中の「クレイジー・ジャーニー」の極小規模・臆病バージョンのような旅である。
 海外では、パッケージツアーに参加するのが常であるが、ツアーのコースの付近にどうしても行きたい場所がある場合は、グループから離れて行きたい場所を訪れる。朝、仲間を乗せたツアーバスを見送ってからが私の旅の本当の始まりである。事故に遭わないように慎重に旅を進める。幸い今までは危険な目に遭ったことはなかったが、そんな幸運が今後も続く保証がない事は常に肝に銘じている。情報収集を怠らず、地図やタブレット、何より地元の人々の協力を頼りに何とか目的の場所にたどり着いた時の充実感は何物にも代えがたい。
 地元の人々は、自分達の文化に関心を持っている異邦人の私達にいつも暖かく接してくれる。言葉が通じなくても、熱意があれば気持ちは伝わるものだ。千原せいじ氏が良いお手本である。
 とはいえ、語学は重要である。語学はコミュニケーションツールとして、その国の文化を深く理解し、危険を回避するために絶大な力を発揮する。併せて、情報収集のためのICT活用能力も必須である。
 好きなものがあると、語学力やICT活用能力は飛躍的に向上する。「好きこそ物の上手なれ」と、昔の人はよく言ったものだ。
 幸い、本学には語学やICT能力を身に付けるための環境はかなり整備されている。皆さんも好きなことを見つけたら、その環境を活用して欲しい。そして造詣を深めてゆけば、人生はますます豊かで楽しくなる。
[OPAC]
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